リサーチ・アイ No.2026-041
中国政府の消費振興策の重点はモノ消費からコト消費へ ― 消費特化型の新たな5カ年計画でサービス消費の振興を目指すも、本格回復は見込めず ―
2026年08月10日 古宮大夢
財消費が低迷する中国において、政府はサービス消費に重点をシフト。7月に策定した「消費拡大に関する第15 次5カ年計画」では、サービス消費の質的向上を重点項目の筆頭に位置づけ。具体的には、銀髪経済(シルバーエコノミー)の拡大や保育サービスの利用促進、文化・観光消費の発展など、サービス消費を政策面から後押しする姿勢を表明。7月末の共産党中央政治局会議でも、サービス消費の潜在力活用を強調。
あわせて政府は、広範なサービス消費を含む新指標「社会消費商品・サービス小売総額」を公表。従来の小売統計に含まれていたサービス消費は飲食のみであったが、新指標では通信・情報サービス、観光・文化、スポーツ・レジャーなどの幅広いサービスを捕捉。新指標で見れば、サービス消費は財消費に比べて底堅く推移。
もっとも、サービス消費が消費全体のけん引役にはなりがたい状況。節約志向の高まりを反映して、サービス支出の内容に濃淡。医療や交通・通信、教育は可処分所得の伸びを超えて増加する傾向がある一方、飲食や家事代行など家庭内で代替可能なサービスは支出が停滞。賃料などの住居費も不動産不況を背景に低迷。さらに、政府が消費拡大の柱に据える観光消費は、国内旅行者の1人当たり支出額が減少。消費者の節約志向の背景にある若年層の雇用不安や長引く不動産不況の打開策は打たれておらず、消費の自律的回復は困難。
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