コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経済・政策レポート

リサーチ・アイ No.2026-031

人材と財政の制約に直面する英国のバーナム次期政権 ― 若年層の就業促進がカギも、時間を要する公算 ―

2026年07月17日 ジェイムズ・パターソン


英国では、7月20日にバーナム新政権が発足する見通し。同氏は、防衛・鉄鋼といった製造業に対する支援を拡充(再工業化)するほか、公営住宅の建設や水道・エネルギー関連の公共サービスの公的管理を強化することで、家賃や水道光熱費などの家計負担を和らげる方針。

もっとも、次の2点がバーナム政権の政策推進を制約する公算。第1に、熟練労働者の不足。製造業や建設業では、労働者のスキル不足が足元の生産活動を抑制する一因に。さらに、これらの業種では、就業者の高齢化が進行。今後、熟練労働者の引退が進むことで、人材不足が一段と深刻化し、製造業の生産回復や建設業の住宅建設の足かせとなる可能性。

第2に、財政上の制約。英国の政府債務残高はGDP比102.3%(2025年)と高水準にあり、債務比率の(安定的な)低下に向けて、基礎的財政収支の改善が課題になっている状況。バーナム氏は財政規律に配慮する方針を示しているものの、仮に、財源を確保せずに水道やエネルギー事業の公営化を行う場合、基礎的財政収支の対GDP比が年平均で1%ポイント悪化し、政府債務残高が拡大する可能性。

バーナム氏は、これら2つの制約への対応策として、職業教育の強化による若年層の就業促進やスキル向上を重視。これにより、再工業化や住宅建設に必要な人材を確保するほか、中長期的には、税収増や現在働いていない若年層(いわゆる「ニート」)への福祉支出の抑制を通じて、財政負担を軽減させる構え。もっとも、ニートの6割は、精神的な病気などを理由に労働市場を退出しており、職業教育の強化だけで労働供給をすぐに押し上げるのは困難。そのため、若年層の就業促進による財政改善効果の発現には時間を要する見込み。十分な財源のないままに財政拡大を優先させれば、金利上昇や通貨安を通じて、結果的に企業・家計負担が増える恐れ。


(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)
経済・政策レポート
経済・政策レポート一覧

テーマ別

経済分析・政策提言

景気・相場展望

論文

スペシャルコラム

YouTube

調査部X(旧Twitter)

経済・政策情報
メールマガジン

レポートに関する
お問い合わせ