リサーチ・アイ No.2026-002
ドイツの公共投資、防衛とインフラで大きな差 ― 債務ブレーキ緩和から1年、輸入依存を強める防衛品目、供給制約に苦慮するインフラ ―
2026年04月03日 中井勇良
2025年にドイツは積極財政方針へ転換。3月にはGDP比1%を超える国防費が債務ブレーキの対象外となったほか、基礎予算とは別に5,000億ユーロ規模のインフラ・気候基金を設立。この結果、25年10~12月には政府による公共投資は大きく増加し、実質総固定資本形成を大幅に押し上げ。今般の政府部門における機械設備投資の増加は防衛関連によるもので、イスラエルや米国からミサイルや防空システム、軍用機などの調達が急拡大。一方で、インフラ投資の伸びは低位。インフラ・気候基金は25年10月から運用が開始され、昨年内に約140億ユーロが拠出されたものの、計画を3割程度下回る規模。
インフラ投資の執行が遅れている背景として、以下2点が指摘可能。第1に、行政手続きの遅滞。ドイツでは、煩雑な行政手続きや法令・訴訟対応などが、迅速な投資の許認可の阻害要因に。ドイツ復興金融公庫によれば、インフラ投資を1年以上遅らせる要因として、6割の自治体が煩雑な手続きを指摘。法令遵守のために費やされている時間・金銭的コストは、社会全体で2011年対比約170億ユーロ増加。
第2に、建設業における熟練労働者不足。コロナ禍以降、建設業では依然として熟練労働者が不足している状況。熟練労働者の不足数は25年にドイツ全体で▲2割程度減少したものの、建設関連職種については不足数が拡大。ドイツ商工会議所によれば、熟練労働者不足を経営課題として挙げた企業は全体の4割であったのに対し、建設業では6割にのぼる水準。
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