リサーチ・アイ No.2025-154 ホルムズ海峡が封鎖されても、すぐには「掘りまくれ」ない米国 ― 中東産原油の代替調達先として過度な期待は禁物 ― 2026年03月18日 栂野裕貴3月19日に開催される日米首脳会談では、高市首相が米国産原油の輸入を拡大する意向を表明する見通し。イランがホルムズ海峡を事実上封鎖したことで、中東産原油の調達が困難になるなか、代替調達を早急に進めて、わが国が石油不足に陥るのを防ぐことが狙い。もっとも、以下3点の理由から、米国の石油企業がすぐに大規模な増産を行うのは困難と予想。第1に、増産までのタイムラグ。企業が投資を決定してから、新規掘削を行い、油井に仕上げを施して、実際に原油を産出するまでには半年以上の期間が必要。足元の原油高を背景に、企業の採算は改善しているものの、それによる増産効果が発現するのは今秋以降。第2に、増産余力の低下。実質的な在庫とみなされるDUC(掘削済みだが仕上げが済んでいない油井)の数は、足元で統計開始以来の最低水準に減少。石油企業がDUCに仕上げ工程を施すことで、短期的に生産量を増加させる余地は縮小。第3に、不確実性の高さ。足元の原油価格に関する不確実性は、1970年代のオイルショック時並みの水準。中東情勢の先行きが見通せず、石油企業が収益計画を立てにくいことが、増産に向けた投資決定を慎重化させる可能性。加えて、2028年以降の大統領選挙で政権交代が生じ、米国のエネルギー政策が大幅に転換しかねないことも中長期的な増産投資を抑制。以上を踏まえると、わが国政府は、米国以外の国に対しても、代替調達に向けた交渉を加速させる必要。確認埋蔵量や可採年数に基づくと、潜在的な調達先候補は複数存在。各国が置かれた地政学的状況や国内製油所で扱える油種なども勘案して調達先を多角化すると同時に、代替調達が遅れる事態に備えて、石油消費を効率化する施策(省エネ)を強化することも重要。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)