リサーチ・アイ No.2025-132
《関西経済シリーズNo.10》レジリエンスを備えた関西の観光戦略に向けて ― 中国人訪日客減少を、多様な国・地域からの誘客拡大を図るチャンスに―
2026年01月21日 西浦瑞穂
2025年11月の中国人訪日客数は、2019年同月比▲25.1%の大幅減。関西のインバウンド消費額の対域内総生産(GRP)比率は2%近くに達しており、日中関係の緊張化がインバウンド需要に及ぼす悪影響に要警戒。
2012年9月に尖閣諸島を巡って日中関係が緊張化した際には、関西の中国人宿泊者数は2013年夏にかけて概ね前年比2割減。今回は、関空発着の中国方面旅客便数が前年比4割減(2025年12月)となるなど、2012年時(冬季平均、前年比1割減)を上回っており、落ち込みが大きくなる可能性。
関西経済への影響を試算すると、中国人訪日客数が前年比2割減ると▲0.1%ポイント(約1,200億円)、半減すると▲0.3%ポイント(約3,100億円)成長率を押し下げ。香港からの旅行者数も同様に減少する場合、下押し圧力はさらに強まることに。ただし、この先も円安水準での為替推移が見込まれるなか、引き続き訪日旅行に割安感があることが全体的なインバウンド需要を下支えし、中国人訪日客減少の悪影響を一定程度相殺すると予想。
訪日客に占める中国人のシェアをみると、関西では奈良が最も高く、和歌山や滋賀では香港が相応に大きな割合を占めるなど、府県間に相違点。大阪や京都は、そもそもオーバーツーリズムが深刻な状況にあり、中国人訪日客の減少がもたらす悪影響は限定的と予想。一方、和歌山や奈良は京都や大阪の混雑回避先としての需要も含んでいる可能性があり悪影響を受けやすい恐れ。元来、観光産業は、国際情勢などの外部ショックに対して脆弱。今般の中国人訪日客の減少を奇貨として、様々な国・地域からの誘客を強化し、外部ショックへの耐性を強めることが重要。
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