リサーチ・アイ No.2025-112 日中関係が本格悪化なら訪日消費額は3年で2.3兆円減少も ― 中国政府による訪日制限の発動有無がポイント ― 2025年11月25日 古宮大夢高市首相の台湾有事を巡る国会答弁を受け、中国政府は観光客や留学生に日本への渡航自粛を発令。中国は、訪日外客数・訪日消費額のいずれにおいても全体の20%以上を占めており、インバウンド需要全体への影響大。日中関係の悪化は、過去にもインバウンド需要を下押し。2012年に尖閣諸島の国有化を巡って反日デモが起きた際、中国人の訪日旅行者数は最大で▲30%減少。もっとも、当時は政府による観光制限の発令はなく、旅行者数は1年弱で急回復。中国政府が観光制限を科した事例として、2017年の韓国への制裁措置が指摘可能。韓国によるTHADD(高高度防衛ミサイル)の配備に対する報復措置として、中国政府は韓国への団体旅行を禁止。この渡航禁止令により、訪韓中国人数は1年で半減。その後の制裁解除も段階的にとどまり、旅行者数の落ち込みは長期化。インバウンド需要への影響は中国政府のスタンスが左右。今後、わが国に対する中国政府の強硬姿勢が緩和され、訪日旅行への制限を課さない場合、訪日消費額は▲5,000億円程度の減少にとどまる計算。一方、韓国のように中国政府が長期にわたって渡航を禁止する場合、向こう1年間の訪日消費額は▲1.2兆円減少し、3年間での損失総額は▲2.3兆円にのぼる計算。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)