リサーチ・アイ No.2025-101
国際通貨基金(IMF)が指摘するステーブルコインの金融リスク ~金融システムとの連関性の高まり、新興国における通貨代替に注意が必要~
2025年10月21日 谷口栄治
ステーブルコインの市場規模が拡大するなか、国際通貨基金(IMF)は、本年10月に公表したGlobal Financial Stability Reportにおいて、以下の3点を今後のリスクとして指摘。
1点目は、通貨代替のリスク。米ドル建てステーブルコインは、新興国・途上国に流入しており、通貨制度が脆弱な国において自国通貨を代替する可能性あり。こうしたケースでは、通貨主権が失われ、適切な経済政策を採ることができなくなる恐れ。
2点目は、短期国債の需要増に伴うマネーフローの変動リスク。ステーブルコインは短期国債を主要な裏付資産として保有。今後、市場拡大に伴い、短期国債に対する需要が増加する一方、預金が流出し、長期国債や貸出への資金供給が減少する恐れ。
3点目は、取り付け騒ぎに伴う金融市場混乱リスク。ステーブルコインの償還請求が急増する事態(取り付け騒ぎ)となれば、裏付資産である預金の引き出しや短期国債の投げ売りが生じ、資産価格の暴落など、金融市場が混乱する恐れ。
米国でジーニアス法が成立し、ステーブルコイン発行の動きが世界各地で広がるなか、ステーブルコインがもたらす金融リスクについて、国際的に検証し、対応のあり方を検討する必要。
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