コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

経済・政策レポート

リサーチ・アイ No.2025-095

自民党・高市総裁の減税策、わが国の原油関連リスクを高める恐れ ― 経済安全保障上の問題や円安による所得流出に要注意 ―

2025年10月10日 栂野裕貴


自民党総裁選では高市氏が勝利。今後行われる首班指名を受けて、同氏による新政権が発足し、ガソリン・軽油に対する減税(暫定税率の廃止)が行われる公算大。国内の石油製品価格の下落は、わが国の原油需要を押し上げる可能性。

わが国の需要増加が世界の原油価格に及ぼす影響は軽微。経済成長率の低迷や省エネの進展等から、わが国の石油消費が世界全体に占める割合がすう勢的に低下していることが背景。

ただし、減税策が、原油に関する以下2点のリスクを高めかねない点に要注意。第1に、経済安全保障上のリスク。わが国は原油調達を中東からの輸入に強く依存しており、中東情勢の緊迫化などで供給が途絶すると甚大な悪影響を被る経済構造。原油需要の増加は、こうした脆弱な経済構造からの転換を遅らせる可能性。

第2に、円安による所得流出リスク。高市氏は減税策を多数掲げており、金融市場で財政悪化が懸念されれば円安が進む可能性。試算では、円が対ドルで10円減価すると、原油輸入コストは7千億円増加し、所得が海外に流出。所得流出は輸入企業の収益を悪化させるほか、コストの増分が石油製品価格に転嫁されることで多くの企業や家計などへの負担も高める恐れ。過去の価格転嫁動向に基づくと、円が対ドルで10円減価する場合、ガソリン・軽油価格は4円程度上昇し、減税分の多くを帳消しにする計算に。


(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)
経済・政策レポート
経済・政策レポート一覧

テーマ別

経済分析・政策提言

景気・相場展望

論文

スペシャルコラム

YouTube

調査部X(旧Twitter)

経済・政策情報
メールマガジン

レポートに関する
お問い合わせ