リサーチ・アイ No.2025-063 質と量の両面で着実に進展する新興国の金融包摂 ~ モバイルマネー口座を中心とする金融システムへの対応を ~ 2025年07月25日 谷口栄治世界銀行が本年7月に公表した「Global Findex Database 2025」によれば、2024年時点の金融取引口座(銀行口座、モバイルマネー口座)の保有率は、世界全体で79%と、2011年の51%から伸長。とりわけ、低・中所得国では42%から75%になるなど、伸びを牽引。質の面でも新興国の金融包摂(Financial Inclusion)が進展。2024年の低・中所得国における貯蓄口座の保有者は40%と、前回調査(2021年)から16%pt上昇。家計部門の貯蓄(資産形成)拡大は、同部門の金融資産及び金融所得の増加につながるほか、企業部門に対する資金供給源となるため、金融仲介機能の向上に直結。これらの背景にあるのが、モバイルバンキングの浸透。低・中所得国の過去10年間の口座保有率の増加の内訳をみれば、モバイルマネーが口座増の主因に。とりわけ、中南米やアフリカ、南アジアでは、モバイルマネー口座が重要な金融取引手段に。新興国における金融包摂の進展は、経済活動や社会生活の基盤形成につながるほか、金融ビジネスの発展も期待される。一方、金融当局からみれば、モバイルマネー口座を中心とする金融システムの規制・監督のあり方や、セキュリティ、AML/CFT対策の強化等が、国際的に重要なイシューに。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)