リサーチ・アイ No.2025-048 新NISA1年目の動向と今後の課題 ― 買付額は前倒しで目標達成、若年~中堅層の口座開設や稼働率改善など課題も ― 2025年07月03日 下田裕介金融庁の公表資料によると、NISAの累計買付額(新旧両制度含む)は、本年3月末時点で59.2兆円。政府目標のひとつである「5年以内の累計買付額倍増(56兆円)」を約3年前倒しで達成。新制度における年間投資枠の拡大や非課税期間の無期限化など、使い勝手の改善が利用を後押し。残高は、2024年末時点で34.4兆円と前年比16兆円増加。昨年夏の株価急落を受けた売却や旧NISA口座の解約などから、買付額の増加(17.4兆円)を下回る結果。旧一般NISAの非課税期間は最長2027年末までで、それまでは旧口座の解約が、残高の伸びを一定程度下押しする公算。一方、NISAの口座数は、本年3月末時点で2,647万口座と、買付額の伸びほどではないものの増加。当社のシミュレーションをみると、もう一つの政府目標である「5年以内の口座数倍増(3,400万口座)」の達成に向けて、20~40歳代の需要掘り起こしが必要。また、口座を開設したものの、買付をしていないいわゆる不稼働口座は20~40歳代においても3割程度存在。長期・積立投資をベースとした資産形成の有無により、将来の金融資産残高に格差が生じかねないなか、金融教育の充実や不稼働口座保有者へのはたらきかけなどを通じて、NISA口座の開設や買付額を継続的に拡大させていくことが肝要。(全文は上部の「PDFダウンロード」ボタンからご覧いただけます)