リサーチ・アイ No.2021-045
7~9月期GDP予測 ― 前期比年率▲0.5%と2四半期ぶりのマイナス成長 ―
2021年10月29日 小澤智彦
7~9月期の実質GDPは前期比年率▲0.5%(前期比▲0.1%)と、2四半期ぶりのマイナス成長となった見込み。設備投資の回復が続いたものの、4回目の緊急事態宣言の発令を受け個人消費が減少したほか、半導体不足などの供給制約を背景に輸出が減少。GDPは新型コロナ流行前のピーク(2019年7~9月期)を▲3.4%下回る水準。
①個人消費(前期比年率▲1.4%、前期比▲0.3%)2四半期ぶりの減少。新型コロナの感染再拡大や4回目の緊急事態宣言の発令を受けて、外食や旅行、娯楽などのサービス消費が下振れ。家電の巣ごもり需要一巡や自動車供給の落ち込みなどにより財消費も減少。
②設備投資(前期比年率+1.6%、前期比+0.4%)2四半期連続の増加。業績回復を背景に、製造業などで先送りしていた設備投資を再開する動き。デジタル化や脱炭素に向けた投資も下支え。
③政府消費(前期比年率+1.6%、前期比+0.4%)2四半期連続の増加。新型コロナのワクチン接種に係る支出がプラスに寄与。
④外需(前期比年率寄与度▲0.2%ポイント、前期比寄与度▲0.0%ポイント)輸出は前期比年率▲9.9%と、新型コロナ禍で大幅に下振れた2020年4~6月期以来の減少。世界的な半導体不足や東南アジアでの新型コロナ感染拡大に伴う部品不足の影響を受けて自動車が大幅に減少。輸入は、個人消費の落ち込みなどを受けて同▲9.0%の減少。この結果、外需は小幅ながら3四半期連続のマイナス寄与に。
10~12月期を展望すると、ワクチン接種の進展と、それに伴う活動制限の緩和を背景に、個人消費の回復が本格化するほか、自動車生産の持ち直しも景気を押し上げるため、高めのプラス成長となる見通し。
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