JRIレビュー Vol.5, No.132
「GXイノベーション」支援策に求められるインパクト評価手法(IMM)の導入-わが国の「GX」と「イノベーション」の経緯から得られる示唆-
2026年04月30日 新美陽大
本稿は、わが国のGX(グリーントランスフォーメーション)政策とイノベーションの関係性を整理し、巨額の資金支援政策に求められる実効性と透明性を実現する評価・管理手法として、インパクト評価手法(IMM)の導入を提言する。
まず、GXはエネルギー安定供給・経済成長・排出削減の同時実現を目指す国家戦略と位置づけられ、その実現には「技術開発」と「社会実装」の両面が求められる。とくに技術開発段階では破壊的イノベーションが中心となる一方、社会実装段階では既存技術の改善・普及を意味する持続的イノベーションが不可欠である。
日本の過去のイノベーション政策として、半導体と太陽光発電パネルの2つの事例を検証した結果、いずれも初期段階では世界トップシェアを獲得したが、成長段階で他国に市場を奪われ「成長の果実」を得られなかった。背景には、技術進展に取り残されたことや価格競争での敗北、関連産業の育成不足に加えて、政策目的・効果検証の不十分さがあった。
GXイノベーションを成功させるには、巨額の資金支援を“総花的・野放図”に実施するのではなく、政府が企業でいう技術責任者(CTO)と財務責任者(CFO)としての役割を担い、技術特性などに応じた適切な資金戦略を遂行する必要がある。また、国民生活にも負担の影響が及ぶ以上、「安定供給・経済成長・排出削減」に加えて国民負担を反映する「価格」も評価軸として設定し、目標値を明示したうえで資金拠出すべきである。
そこで有効なのがIMMである。IMMを活用すれば、①多面的な評価指標の設定、②技術開発から社会実装までの因果プロセスの可視化、③進捗管理と外部環境を踏まえた見直し・中止判断、④国民への透明な情報開示が体系的に行える。とくに、破壊的イノベーションの不確実性を前提に柔軟なエグジット戦略や再挑戦を可能にすることが重要である。
課題は残るものの、IMMは日本の過去の失敗を繰り返さず、GXイノベーションへの巨額投資を最大限に生かすための有効な手段となり得る。様々な政府の取り組みに紐づけながら、可及的速やかに改善を行うことが望ましい。
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