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JRIレビュー Vol.4, No.131

時間外労働規制により労働時間や家事・育児時間は どう変化したか

2026年04月13日 井上恵理菜


日本では、男性を中心に長時間労働者の割合が高く、長時間労働による健康被害や女性への家事育児負担の偏りが問題とされてきた。2018年に制定された働き方改革関連法は、時間外労働時間の上限を定め、違反した場合の罰則も規定したため、長時間労働の削減への寄与が期待されている。

働き方改革関連法の見直しに向けた議論が活発化するなか、時間外労働規制の効果の検証が喫緊の課題となっているが、実際にその効果を検証した実証研究は少ない。本稿は、規制による労働時間と家事・育児時間への影響を示すことで、証拠に基づく政策立案(EBPM)の推進への貢献を目指す。

長時間労働者のうち、労働時間を増やすことを望んでいる人の割合は1割未満である一方、労働時間を減らすことを望んでいる人の割合は約5割と高く、労働時間の削減は多くの人々の希望に沿った取り組みであるといえる。

本稿は、時間外労働規制が妻・子どもと暮らす25 ~ 54歳男性の労働時間および家事・育児時間に与える影響を検証した。その結果、時間外労働規制により、2019年の週当たり労働時間は99分削減され、同年の週当たり家事・育児時間(勤務日)は58分増加したことが示された。つまり、減少した労働時間の約半分を家事・育児に充てていたこととなる。

時間外労働規制は、労働時間の削減および家事・育児時間の増加に有効な政策であり、ワークライフバランスの観点から評価すれば、緩和は望ましくないといえる。時間外労働規制は、短期的には労働力不足を助長すると考えられるが、業務プロセスの改善やデジタル化を通じて労働生産性を引き上げる努力がなされれば、中・長期的にはむしろ企業にとってプラスの効果があると考えられる。それでも不足する労働力の確保に向けては、労働時間を増やしたい人の多い、短時間労働者の労働時間を増やすことが望ましい。そのためには、第3号被保険者制度の見直しなどによる労働時間に対して中立な税・社会保障制度の構築が求められる。


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