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JRIレビュー Vol.9, No.127

「地方は性別役割分業意識が強い」は本当か -属性による分業意識の違いを探る-

2025年10月23日 井上恵理菜


日本は他国に比べてジェンダー平等に向けた取り組みが遅れており、その要因の一つとして固定的な性別役割分業意識の存在が指摘される。

性別役割分業意識とは、一般に「男性は仕事、女性は家事・育児を担うべきである」という考え方である。この分業意識が強固であると、個人が自由な選択を行うことが困難になりやすいだけでなく、女性の労働市場での活躍を阻害するため、労働力不足や女性の貧困を引き起こしやすくなる。

分業意識の是正のためには、どのような人が強い分業意識を有しているのかを把握する必要がある。そこで、本稿では、個票データを用いて属性別の分業意識の違いを分析する。その際、先行研究において分析が手薄であった地域差に焦点をあてた。

分析の結果、分業意識の地域差は、居住地が東京都とそれ以外で比べた場合、女性では東京都の方がそれ以外よりも分業意識が弱く、男性では居住地による明確な違いはなかった。分業意識の弱いキャリア志向の女性が地方から東京都に移動した結果として、女性のみ東京都とそれ以外での分業意識に差が生じていると推察される。属性による分業意識の差については、男性、高齢、低学歴、女性の家計貢献度が低い場合に、分業意識が強いという結果が得られた。

以上の結果を踏まえると、分業意識の是正のため、①高齢男性への意識変革の働きかけ、②高等教育の進学率の引き上げ、③女性が働きやすい環境の整備、④地方における女性が稼げる仕事の創出が求められる。女性が稼げる仕事の創出は、地方経済の活性化にとっても重要な施策である。


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