JRIレビュー Vol.11,No.95
ニューノーマル時代の中小企業における中核人材確保の在り方ー人材シェアリングの活発化に向けた課題
2021年11月30日 星貴子
新型コロナ禍からの回復に向け明るい兆しがみられるなか、中小企業においても企業経営を担う中核人材に対する需要が再び高まり始めた。中核人材への求人といえば、従来は大企業に勤務していたシニア層やリタイア層をイメージすることが多かったが、近年、社内のDXの軸となるICT技術者など、即戦力となる現役世代へのニーズが高まっている。こうした人材に対する需要は企業規模にかかわらず高く、都市圏の大企業を中心に人材獲得競争が激化する様相を呈している。中小企業、なかでも地方企業にとって、中核人材の確保は容易でないといえよう。
こうしたなか、正規雇用ではなく、副業・兼業をする人材やフリーランスといった外部人材を嘱託社員として雇用する、あるいは彼らと業務委託契約を締結するなど、企業ニーズに応じて活用する、いわゆる「人材シェアリング」を導入する中小企業が増加している。中小企業経営者の人材活用に関する意識が変化したことに加え、副業・兼業を解禁する企業の増加や業種の多様化、新型コロナ禍で急加速したテレワークやオンライン会議の普及が寄与している。
今後、中核人材不足がさらに深刻化すると見込まれることから、必要な人材を獲得するための有効な手段として、中小企業にとって人材シェアリングは必要不可欠なものとなろう。しかしながら、人材シェアリングに対しては、労働時間や福利厚生など労務管理の煩雑さのほか、ニーズに即した人材の採用や、採用した人材のスキル・ノウハウの生かし方などに関して課題も残っている。
人材シェアリングを時代に即した新たな雇用の在り方として、今後一段と活発化させていくためには、企業がニーズに即した人材を的確に採用し、その能力を最大限に活用できるよう、人材シェアリングを支える基盤を整備・強化していくことが重要である。具体的には、①人材シェアリングに関するガイドラインの作成に加え、アドバイス、フォローアップなどのコンサルティング体制の整備といった企業支援の拡充、②副業・兼業に加え人材レンタルの推進のほか、関連事業者のネットワーク化による人材データの共有化など人材シェアリング市場の整備に取り組む必要がある。
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