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Business & Economic Review 1999年05月号

【論文】
地域金融機関のインターネット・バンキング活用戦略-インキュベーション・バンクへの脱皮に向けて

1999年04月25日 事業企画部 村田裕之、常陽銀行 営業統括部 調査役 田村誠


要約

わが国の金融業は金融ビッグバン(金融大革命)という「市場の自由化」とエレクトロニック・コマース革命という「市場の情報化」の2つの嵐を連続的にくぐり抜けなければならない、いわば「金融・EC同時革命の時代」を迎えている。

金融サービス分野においては外資系金融機関、都市銀行、証券会社、ノンバンク、新規参入の異業種企業がしのぎを削り、インターネット・バンキング等のインターネットを活用した顧客サービス競争が激化している。

インターネット・バンキングは「取引サービス中心(第一世代)」から「情報サービス中心(第二世代)」に向かっており、顧客に対し知識や智恵を提供する「ナレッジ・サービス」が差別化のポイントとなっている。上記の金融サービス提供企業はこのような差別化の方向に動いている。

しかし、地方銀行等の地域金融機関は、インターネット・バンキングへの取り組みが積極的でなく、厳しい市場競争のなかで乗り遅れている状況である。

その理由は、地域金融機関において、インターネット・バンキングに対し「ユーザーはまだ少ない」「まだセキュリティが十分でない」「単なるデリバリーチャネルのひとつに過ぎない」といった誤った認識が多いことによる。

しかし、このような認識を改め、インターネット・バンキングを積極的に活用し、地域金融機関としての強みを活かした住宅やシニアライフ等の地域密着型の「ナレッジ・サービス」を提供することで、他の金融サービス企業に対する差別化が可能となる。

このような「地域密着型ナレッジ・サービス」を提供するための最も効果的な戦略は、地域金融機関が中心に立ち、地域企業を巻き込み、異業種企業コンソーシアムを組織化し、第二世代のインターネット・バンキングを推進することである。

このような異業種企業コンソーシアム活動を通じて、地域産業の孵化・育成(インキュベーション)の中心に立つ「インキュベーション・バンク」になることが地域金融機関の新しい役割である。
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