Business & Economic Review 2002年12月号
【REPORT】
外需の牽引力をどうみるか-アジア向け輸出にどこまで期待できるか
2002年11月25日 調査部 経済研究センター 小川昭
要約
わが国景気は2002年入り後、輸出を牽引役に、緩やかながらも持ち直し局面に転じたとみられる。もっとも、設備投資・個人消費といった内需に目を転じると、機械受注の回復に不透明感が残り、百貨店やスーパー売上高の前年割れ基調が続くなど、総じてみると低迷が持続している。加えて、秋口以降、株価が大幅に下落し、内需回復の一段の遅れが懸念されている。つまり、当面の景気回復は依然として外需(輸出)頼みの状況にある。
このようなもと、夏場以降にアメリカ景気の先行き不透明感が強まるなど、輸出の先行きに懸念材料が台頭しつつある。一方、対アジア輸出については、中国の台頭をはじめとしたアジアの「自立的な」経済成長に支えられる形で増勢が続くという見方も存在している。 そこで、本稿では、a.アジア経済の「自立性」、すなわち域外経済が悪化した場合に、アジア経済が内需主導でどこまで経済成長を持続出来るか、b.それを前提に、今後、対アジア輸出にどの程度景気の下支え効果を期待出来るのか、c.アメリカ景気減速がわが国輸出にどのような経路で、どのように影響してくるのか、といった問題意識を念頭に、外需の景気牽引力について検討する。

