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アジア・マンスリー 2014年2月号

【トピックス】
深まる日・ASEAN経済関係

2014年02月06日 熊谷章太郎


2015年末のAEC(ASEAN Economic Community)の創設に向け、ASEAN各国が域内の貿易・投資の自由化を進めるなか、日本政府・企業はASEANとの経済関係の強化を進めている。

■ASEANの経済統合の現状
ASEAN各国は、2015年末のAEC創設に向けた取り組みを進めている。AECとは、2003年のASEAN首脳会議の「第二ASEAN協和宣言」において提唱された3つの共同体(経済共同体、安全保障共同体、社会・文化共同体)の一つの軸であり、規制緩和、制度融和、インフラ整備などを通じて、域内のヒト、モノ、カネの移動の自由化を推し進めるものである。

2007年に策定された行動計画では、①単一の市場・生産基地、②競争力のある経済地域、③公平な経済発展、④グローバル経済への統合、といった4つの観点から取り組み項目がまとめられている(右図)。行動計画の前半期間にあたる、2008~11年の統合状況を評価した「ASEAN Economic Community Scorecard」によれば、関税撤廃などの分野では交渉が大きく進んだものの、非関税障壁の撤廃や輸送インフラの整備が遅れたこともあり、全体の進捗度合いは同期間の達成目標の67.5%であった。分野によっては、2012年以降も大きく進展していない項目もあるため、2015年末時点でのブルー・プリント記載項目の完全実施は困難であると見込まれる。もっとも、経済統合に向けた取り組みは、行動計画の見直しを経ながら、今後も続けられていく見込みである。

また、域内の自由化と並行して、日本、中国、韓国、インド、豪州、ニュージーランドとの広域な経済連携構想である、RCEP(Regional Comprehensive Economic Partnership)に向けた交渉も進められており、アジアビジネスにおけるASEANの重要性は今後一段と高まっていくと見込まれる。

■官民両レベルで経済関係が深化
AECの創設を控えるなか、2013年に交流40周年を迎えた日本とASEANとの経済関係は、政府・民間両レベルで一段と深化しつつある。

まず、政府外交では、安倍首相が2013年に歴代首相で初めてASEAN全加盟国を1年間で訪れることでASEAN重視の姿勢を明確に打ち出すとともに、同年12月に一連の外交の集大成となるASEAN特別首脳会議を東京で開催し、日本の2014年以降の対ASEAN支援方針を表明した。

具体的な施策としては、経済分野では、域内の連結性強化に向けたインフラ整備を中心に今後5年間で2兆円規模のODAの供与や、防災関連での協力などを表明するとともに、日・ASEAN間の貿易・投資の促進のため、日・ASEAN包括的経済連携協定の交渉妥結に向けて協力することを確認した。

ASEAN首脳会議と並行して行われたメコン地域5カ国(タイ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)との首脳会談でも、各国への個別具体的な支援が表明された。とりわけ、近年急ピッチで政治・経済改革が進むミャンマーに対しては、2013年5月の安倍首相・テインセイン首相の会談で表明された約5,000億円の債務免除と910億円のODA供与に加えて、新たに632億円のODAの供与が表明されるなど、大きな支援が行われる予定である。

また、今後の域内経済統合を睨み、企業のASEAN向け投資も増加傾向が続いている。2013年1月から10月までの日本のASEAN向け直接投資額は、インドネシア、タイ、ベトナム向けなどを中心に2010~12年の年平均投資額を4割近く上回るなど、伸び悩みが鮮明な対中投資とは対照的な状況となっている。

さらに、日本からASEANに向かう動きだけでなく、観光など一部の分野ではASEANから日本に向かう動きも出始めている。ASEANからの訪日外客数は、各国において中間層が増加を続けていることや、2013年7月からタイ、マレーシア、ベトナム、フィリピン、インドネシアに対して訪日ビザを免除したことを背景に、足元にかけて急増しており、わが国消費市場の持ち直しに寄与している。このように、日・ASEAN経済関係は今後も引き続き双方にとって重要な役割を果たしていくと見込まれる。
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