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カーボンフットプリント制度導入に向けて

2008年12月01日 青山光彦


 今回は、これまで何度か取り上げてきている「カーボンフットプリント」表示制度について、経済産業省(商務情報政策局流通政策課)が主導で進めている「カーボンフットプリント制度の実用化・普及推進研究会」ならびに「CO2排出量の算定・表示・評価に関するルール検討会」におけるこれまでの議論の経過を整理したいと思います。


■位置づけと発足経緯
 2008年3月末に改定された「京都議定書目標達成計画」において、製品・サービスの製造・使用段階等におけるCO2排出量の「見える化」を推進する旨、また、6月9日に発表された「福田ビジョン」において、カーボンフットプリントの制度化を推進する旨が表明されるなど、カーボンフットプリント制度導入の必要性の高まりを受けて、経済産業省では、有識者、事業者、民間団体から構成され、制度の実用化及び普及に関する検討を行うことを目的とした「カーボンフットプリント制度の実用化・普及推進研究会(以下、研究会)」を発足しました。また、有識者から構成され、制度設計上の技術的課題に関する検討を行うことを目的とした「CO2排出量の算定・表示・評価に関するルール検討会(以下、検討会)」も発足しています。
 これらの研究会・検討会は成果を相互にフィードバックするなど補完的な位置づけにあり、研究会メンバーのうちの有識者が検討会メンバーという構成になっています。


■検討経過
 6月17日に第1回研究会を開催し、カーボンフットプリント制度の論点を提示し、事業者メンバー等からの制度導入に向けての具体的な意見が提示されました。
 7月7日第1回検討会にて、フットプリント算定における二次データ(共通データ・文献データ等)のあり方やリサイクル資材の扱い、比較のための情報インフラの必要性、配分:アロケーション(複数種別の商品が混流するプロセスで、全体の負荷量から個別商品の排出量を推計する手法)の問題など具体的な議論が進んでいます。
 さらに、8月20日第2回検討会では、配分方法において、商品種別算定基準(商品種別ごとにLCAの算定条件を定めるもの:Product Category Rule(PCR))など算定及び制度設計においてより踏み込んだ議論が行われました。
 9月11日には、こうした検討会での議論を踏まえて第2回研究会が開催され、「カーボンフットプリント制度の在り方(指針)」(案)たたき台をもとに、事業者等から建設的な意見が多数だされ、さらに年末に控える「エコプロダクツ2008」展示試作品の実験的市場投入に向けての検討が進められました。
 9月26日の検討会では、10月に控えるパブリックコメントに向けての積み残し課題についての検討が進められ、10月8日から10月28日まで「カーボンフットプリント制度の在り方(指針)」のパブリックコメントが実施されています。
 その後、11月14日に検討会・研究会合同で、パブリックコメントへの対応方針の議論、海外におけるカーボンフットプリントの動向調査結果の共有、カーボンフットプリント・統一マークの選考結果の発表、12月11日~13日のエコプロダクツ2008へのカーボンフットプリントを算定・表示した商品サンプル出展に向けたラベル表示の規定等を議論されています。


■主な論点
 各検討会、研究会での議論は議事録を参照いただくとして、今回パブリックコメント時の「カーボンフットプリント制度の在り方(指針)」で示されている検討課題を紹介します。

(1) カーボンフットプリント制度の認知度の向上及びコストの適正な転嫁
 事業者の積極的な取り組み推進及び消費者の正しい理解に向けて、事業者、消費者団体、政府に求められる役割が求められ、特にデータ算定・収集のコスト増に対し、サプライチェーン全体の事業者の認識向上および消費者の理解の促進が求められる。

(2) LCAデータ流通システム・データベースの構築及びLCAの普及促進
 事業者独自で把握する一次データに関するルールの曖昧さや、二次データがデータベースとして未整備である点が課題であり、それを受けてLCAの普及促進が求められる。

(3) CO2排出量以外の環境情報等との整合性
 CO2削減と他の環境負荷物質排出とでトレードオフの可能性があり、カーボンフットプリント以外の環境負荷の総合的な判断ができるような環境整備が求められる。

(4) 海外のカーボンフットプリント制度との比較及び相互承認について
 海外輸出入品に対して複数のカーボンフットプリント表示がされ、単純比較できない点の消費者への周知及び国際標準制度下においても詳細部分のルールが異なるため、相互認証の仕組みづくりが求められる。

(5) 継続的な更新
 指針自体も、今後事業者や消費者からの意見を受け、継続的に改善・更新を図る必要がある。


■最後に
 カーボンフットプリント制度は、世界的にみても、各国独自のマークを設計し現在検討中のものがほとんどです。この制度が今後の消費生活の中でどのようなインパクトを持つものになるのか、経過を見守っていきたいと思います。
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