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CSRから始まるサプライチェーンカーボンマネジメント

2008年09月20日 青山光彦


1.はじめに
 以前に、サプライチェーンの視点からのカーボンマネジメントについて言及しましたが、ここ数年において、温暖化、環境問題も含めた広くCSRの観点から、サプライチェーン上での取り組みの重要性が高まっています。今回は、カーボンマネジメントをCSRのSCM(Supply Chain Management)の視点から捉えなおしてみたいと思います。

2.CSRとサプライチェーン
 欧米の多国籍企業を中心に、アパレル業界や食品業界(コーヒー業界等)、電機業界等において、サプライチェーン全体でのCSRの先行的な取り組みが行われています 。欧米では、消費者をはじめ、投資家やNGOの関心が非常に高く、企業活動において無視できない状況になっています。
 日本の国内企業においてサプライチェーン全体でのCSRの取り組みを進める企業は、現在ではまだそれほど多くはありませんが、一部において取り組みが進んでいます。電子機器業界では、社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が2006年8月に「サプライチェーンCSR推進ガイドブック」を策定し、サプライチェーンを構成する関係会社などにCSRの取り組みを啓発しています(これは欧米で2004年10月にIBM、DELL、ヒューレッドパッカードが中心となって策定した電子業界行動規範(Electronic Industry Code of Conduct:EICC)にほぼ準拠する形となっています)。

3.ガイドブックにおける環境・温暖化問題の位置づけ
 JEITAが策定した「サプライチェーンCSR推進ガイドブック」には、EICCには含まれていない項目として「品質・安全性」、「情報セキュリティ」が新規で挙げられます。また、環境面においては、小項目として、「環境マネジメントシステム」「温室効果ガスの排出量削減」「環境保全への取組み状況の開示」の項目が設けられています(これらはEICC策定後に特に重要性が高まった項目と考えられる)。カーボンマネジメントという点では「温室効果ガスの排出量削減」が直結しますが、これは「温室効果ガスの排出量削減を実行するための自主目標を設定し、また継続的削減を図る」ことを推奨しており、そのチェック項目として「法規制・規範の対応」、「責任部署の所在の有無」、「問題発生時の対応の仕組み」、「温室効果ガス削減活動の実施状況」及びその「自己評価」などを挙げています。

4.進んだ要因は何か
 このように、欧米をはじめ国内でも一部でサプライチェーン全体でのCSRの取り組みが進みつつありますが、取り組みが進んだ要因として大きく2つ考えられます。
 1つ目は、投資家や消費者、NGOなど各種ステークホルダーの発言力の向上といった外圧により企業活動としてCSRの対応が求められた、ということです。
 2つ目は、業界特性による内部的な理由です。つまり、電子業界などに代表されるように、資材の調達先がグローバルに展開しており、互いに供給先であったり、調達先であったりと業界の企業間で複層構造になっているため、欧米のみならず国内企業もその対応が求められるようになった、ということです。また、同時に個別企業での取り組みよりも業界全体で統一的に取り組んだほうが、結果としてお互い効率化につながるという利点もあり、共通のガイドラインの策定が進んだと捉えることもできます。

5.今後のカーボンマネジメントの動き
 上述のように、サプライチェーン全体でのCSRの取り組みが進む要因として、外圧と内圧のそれぞれが考えられます。これをもとにCSRの中の環境・温暖化問題にフォーカスしてこれらの要因を適用した場合、以下のことが想定されます。
 要因の1つ目からは、ステークホルダーのうち特に一般消費者から目の届きやすい業種、つまりB to Cの業種が、外圧によりサプライチェーン全体でのカーボンマネジメントが進みやすいということが言えます。
 また、要因の2つ目からは、特にサプライチェーンを考えたときにグローバル化が進んだ業種・業界でサプライチェーン全体でのカーボンマネジメントが進みやすいということが言えます。

 このように、今後、サプライチェーン全体でのCSRという視点で捉えたマネジメントの推進が、従来の業務効率の向上というSCMに変わって新たなCSR-SCMとして進化する可能性があります。そして、その結果として、SC-C-M(Supply Chain Carbon Management)も同時に進んでいくのではないでしょうか。
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