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温暖化と広告

2008年08月05日 佐々木努


 洞爺湖サミットが閉幕してから1ヶ月が経とうとしている。地球温暖化関連の特集TV番組や記事などの露出は、サミット前と比べると随分落ち着いたように思われる。温暖化問題が一過性のブームに終わってしまわないかと多少心配していたところ、広告代理店の方とお話しする機会があり、そこで面白いことを伺った。「洞爺湖サミット開幕日の新聞広告のほとんどが環境関連銘柄で占められていた。これはエポックメイキングな出来事であった。」というのだ。

 筆者も一読者として多いなと感じてはいたが、広告のプロがそのように感じるほどの量とは認識していなかった。早速、数週間前の新聞を取り出し、各紙の広告内容を確かめてみた。なるほど、電機、化学、自動車などの企業が15段(1ページ)以上のスペースを割いて、環境広告を打ち出している。TVのCMについても相当な数が流れていたと記憶している。

 確かに、「エポックメイキング」と呼ぶにふさわしい量だったのだろう。「エコ」や「温暖化」といったキーワードが広告業界において市民権を得る契機となったのであれば喜ばしいことだ。しかし、未だ、温暖化問題への理解やイメージが全ての国民に深く浸透しているとはいえない。筆者の家族や友人と話をしていても、温暖化対策に貢献している企業や製品・サービスを知らないことが多いし、ましてや排出権やカーボンオフセットなどは、見たり聞いたりしたことはあったとしても、十分消化しきれていない「マニアック」な言葉というのが現実だ。

 新聞広告やTVのCMは、筆者のこのコラムよりもはるかに多くの国民の目に届く媒体である。しかし、何事も過多となれば弊害が生じてしまう。温暖化広告が「当たり前」となり、やがて目に留まらないありふれたものになってしまっては惜しい。年末の12月には、ポーランドでCOP14が開催される。このときには、温暖化関連広告の「量」だけでなく、「質」にも注目してみてはどうだろうか。
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