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動き始めるのか森林ビジネス

2008年07月13日 佐々木努


 洞爺湖サミットが閉幕した。先日の筆者コラム(【2008/6/2】森林と温暖化)において、サミットでの森林関連の議論の行方について注目が必要であると指摘した。今回のコラムでは、そのレビューを行ってみたい。

 7月9日に発表された「エネルギー安全保障と気候変動に関する主要経済国首脳会合宣言」において、森林について次のように言及している。
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「森林減少及び劣化等によるものも含む排出量を削減するとともに、土地利用・土地利用変化及び森林セクターにおける、森林火災への取組の協力を含む、吸収源による除去量を増加させる行動が、大気中の温室効果ガスの安定化に貢献し得ることを認識する。」

「排出量を削減し吸収源による除去量を増加させるための、資金供与を含めた革新的な解決及び方法論的問題について、引き続き協力していく。」
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 要するに、「森林減少の回避と植林は地球温暖化対策として有効であり、これらの対策を実施するための方策を検討していく」というメッセージであった。

 日本国内においても、サミットと同時期に四国銀行や京都銀行などが「日本の森を守る地方銀行有志の会」を設立したことや、アサヒビールが社有林でのCO2吸収量について第三者認定を受けたことなどを伝えるニュースがあった。

 現状では森林関連の話題は、「排出権取引」や「CO2の地下貯留」、「大規模太陽光発電」などと比べて「ビジネスの匂い」が極めて小さい。しかし、サミットにおいて明確なメッセージが発信された以上、森林が「無臭」のままでいる可能性は低い。取組みの持続性を担保するためにも森林とビジネスを結びつけることは重要であろうが、「受容性の高い森林」という付加価値を失わない仕組みづくりが必要になるだろう。
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