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カーボンマネジメント時代の到来

2008年07月08日 青山光彦


 国内でも有数の環境先進企業であるリコーが、複写機・プリンター部品の国内調達先に部品生産に伴って発生するCO2の排出削減計画の策定を求める、との記事が7月3日の日経新聞で取り上げられていました。

 自社が直接手がける組み立て工程以外にも、製品のライフサイクルにおいて環境負荷の割合が比較的高い原材料・部品製造工程での環境負荷も減らす取り組みを進めることでブランドイメージの向上を狙う、ということのようです。

 近頃、企業の経営環境において、カーボン・リスク・マネジメントという側面は国際的にみても避けて通れない問題になりつつあります。2008年2月、バンクオブアメリカが明らかにした融資方針において、融資審査の際にCO2排出を1トン20~40ドルの負債としてカウントするなど、CO2排出がイコールコストとなる時代が近づいています。
 今後、企業はこれまで通常のビジネスリスクとしてあった財務リスク、戦略リスク、業務リスク、偶発的リスクなどに加えて、これら全般にまたがる「気候変動リスク・カーボンリスク」への対応が迫られることになります。

 逆に、資源制約、炭素制約のこれからの時代においては、CO2の排出が少ない・吸収することが価値を生む、と読み替えることもできます。ROC(炭素利益率)などという単語がもてはやされる昨今ですが、対株主の視点に加え、ステークホルダーである消費者・ユーザー向けの取り組みとして、製品・サービスのカーボンフットプリントを表示する制度の設計が、現在国で進められており、経済産業省では「カーボンフットプリント制度の実用化・普及推進研究会」において、環境省では、「温室効果ガス『見える化』推進戦略会議」において検討が進められています。

 カーボンフットプリントが示されたカーボンラベルが一般消費財に付与され、CO2排出の少ないものが選ばれ、新しい価値を生む社会になった場合、産業界へのインパクトはおそらく大きなものになると予想されます。それは、冒頭のリコーのように、サプライチェーン全体でのカーボンマネジメントが進み、上流企業(主に中小企業)に対してのCO2排出の管理がこれまで以上に強化される、ということです。

 そのため、そうした動きに対応ができない上流企業は淘汰される恐れがあり、CO2排出量の情報開示が取引に求められる条件になるかもしれません。(以前のEUで進められた化学物質規制(RoHS指令)の時のように)。さらにカーボンマネジメントの視点でのサプライチェーンの再統合などによる産業構造の変革が訪れる日が来るのも、そう先のことではないかもしれません。
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