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Sohatsu Eyes

次世代農業コンソーシアムの設立

2008年01月20日 三輪泰史


昨今、食の安全や世界的な農産物の供給不安を背景に、農業への進出に関心を持つ企業が増えています。農業・食品産業マーケットの市場規模は消費ベースで約80兆円であり、大きなビジネスチャンスがあります。しかし、これまでに農業参入した企業は、必ずしも成功を収めているとは言えません。その要因は、収益性の低い農産物をターゲットとしている点や、周辺事業との連携が上手くデザインできていない点にあると考えます。

そこで日本総研では、これまで複数の企業を設立したノウハウを活用し、新しい農業ビジネスの立ち上げを目指し、「次世代農業コンソーシアム」の設立を予定しています。当コンソーシアムでは異業種企業が農業に直接参入するのではなく、全国のプロ農家のビジネスパートナーとなることで新たな事業の展開を図るものです。当コンソーシアムでは、農業ビジネスの2本の柱として、「セミプレミアム農産物市場の開拓」と「資源循環に基づくサステイナブルインフラの構築」を掲げています。

セミプレミアム農産物とは日本総研の造語で、安心・安全で美味しく、通常の農産物よりも少し高めの農産物を指します。私たちの日ごろの消費行動を改めて分析すると、高級牛肉や果物のようないわゆるトップブランドを口にする機会は少ないものの、例えば週末等に「ちょっと良いもの」を買おうということは意外と多くあることに気付きます。この「ちょっと良いもの」がまさにセミプレミアム農産物です。消費ニーズにマッチし、しかも生産者の収益性が向上することから、農業再生の鍵の一つと考えています。

2つ目のサステイナブルインフラとは、地域に多く存在するバイオマス等を活かした資源循環型インフラです。最近は沈静化の傾向があるものの、エネルギー・肥料・飼料の価格高騰が多くの生産者を苦しめたことは記憶に新しいかと思います。当コンソーシアムでは、バイオガス(メタンガス)、堆肥・液肥といった有機肥料、エコフィードや再生稲等の地域自給型の飼料の活用スキームを、モデルプロジェクトを通して実践していきます。
農業ビジネスに携わる研究員として、当コンソーシアムを通して日本農業の再生、そして地域の再生に微力でも貢献できればと考えています。

なお、当コンソーシアムの概要については下記ウェブサイトにおいてもご紹介しておりますので、ぜひご参照下さい。
http://www.jri.co.jp/service/special/content4/corner22/

※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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