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Sohatsu Eyes

企業はどこまで責任を負うのか

2007年08月28日 足達英一郎



7月、国連グローバル・コンパクトに参加表明している企業230社の経営トップ391人の声を集めた調査結果が公表されました。グローバル・コンパクトは、2000年に発足した、企業を国連機関、労働団体、市民社会および政府と結びつけ、人権、労働、環境、腐敗防止に関する10原則を推進していく取り組みです。集団行動の力を通じ、グローバル・コンパクトは全世界での企業活動の根幹にこれら10原則を取り入れ、国連のさらに幅広い目標の達成を支援する行動の促進を図っています。100カ国を超える国々から、3,000社以上の企業とその他数百のステークホルダーが参加する世界最大の自主的な企業市民イニシアティブです。

調査では、いくつかの興味深い傾向を見ることが出来ます。「5年前にくらべて社会は企業に対して、より公益に適う責任を果たすよう期待を高めている」とする経営トップは、91%に達しています。また、そうした期待を高める原因になっているのは何だと考えるかを尋ねたところ「環境問題への懸念の増大」(61%)、「資源の枯渇」(38%)、「中国やインドのグローバル市場での地位の高まり」(37%)が上位に来ました。一方、「将来の企業成功のためという観点から見て、焦点を当てるべき社会問題は何か」を尋ねたところ、「教育システムの不全と人材不足」(50%)、「国家ガバナンスの貧困(政府の弱体化、紛争の頻発、汚職の横行)」(44%)、「気候変動問題」(38%)が上位に来ています。

この結果は、CSRに意識が高いと考えられる企業の経営トップにおいてさえ、なお社会からの要請と企業の論理が噛み合っていないことを示しています。CSRという言葉が一世を風靡するようになって既に10年以上が経過していますが、企業が果たしてどこまで社会のあり方について責任を負う必要があるのか。その回答はいまだ見つかっていません。私達の仕事も、まだまだ道半ばです。

※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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