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Sohatsu Eyes

欧州CSR最新報告

2005年04月12日 足達英一郎


「欧州でのソーシャルファイナンス」の調査のため、今週はロンドンにいる。「ソーシャルファイナンス」というのは、社会問題に関連した融資や投資を行うこと。温暖化防止のために建設される風力発電所に投資を行うことも、ホームレス支援を行う慈善団体に融資するのも「ソーシャルファイナンス」である。さらには、社会的懸念を引き起こしている事業活動には融資をしないという概念も、これには含まれる。
「企業の社会的責任(CSR)」という言葉を、90年代にはいってリバイバルさせたのが欧州で、いま次の「進化」が生まれている。誤解を恐れずにいえば、CSRという言葉をことさら使わなくなっているというのが、その進化の本質である。

例えば、「地球温暖化」、「アフリカの貧困」、「地域の若年失業者」に企業がどう関与するのかが、各論で議論されるようになっている。同時に、「事業活動のイノベーション」という点により関心が集まっている。3月に公表された「企業のための欧州CSRロードマップ」は向こう5年間のCSR推進のあり方を企業に提言しているが、この目標の最初には「Innovation and entrepreneurship」が掲げられた。まさに、各企業が、本業の中で、社会問題にどう関与することが出来るのか、そのことが重要だと説いている。
冒頭の、「ソーシャルファイナンス」も金融業のCSRの実践だ。興味深いのは、そのことを一般預金者も投資家も支持しているし、当該領域に特化した新しい金融機関が次々と生まれてきていること、そして、こうした潮流に大きな影響を受けて、大手金融機関も「ソーシャルファイナンス」の事業領域を模索し始めていることがある。

「創発」と「進化」。
未来は常にこのダイナミズムの中から紡ぎ出されるのである。

※eyesは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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