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Business & Economic Review 2008年04月号

【SPECIAL REPORT】
地方分権改革に向けた政府内部での役割分担-道州制と地方交付税

2008年03月25日 大阪大学大学院准教授 赤井伸郎


要約

三位一体改革において地方分権が実行段階に進むかと思われたものの、実際の三位一体改革では、義務的経費に関わる補助金が削減され、かえって交付税に依存する体質が生み出された。地方分権とは、地方が責任を持つべき事業に対して自立した経営を行うことであり、本来、国が責任を持つべき事業まで地方に任せることを意図していないはずである。国税と地方税を5:5にすることが必ずしも分権ではなく、国と地方の役割分担を踏まえたうえでの税源移譲の是非を問うべきなのである。そのためには、事業における国と地方の役割分担の整理とともに、税源移譲の在り方も問われるべきであろう。しかしながら、これらの分担の議論をしないまま、税源移譲が行われ、しかも義務的経費の削減が行われたため、多くの事業を抱えるにもかかわらず財政的に苦しい自治体が多く存在する結果となった。税源移譲で財源を得た自治体(交付団体)との税収格差が顕著となり、地域間格差が議論されることとなった。この格差問題は、地方分権の在り方に対して、新たに二つの視点を提示した。第1は、国がどのレベルまでの格差に責任を持つべきであるのか、それをどのような制度で行うべきであるのかである。これは、国と地方の責任分担とも関わる地方財政制度の在り方の問題である。第2は、地域間格差を、どのレベルの地域で捉えるべきであるのかである。これは、地方内部での役割分担および地域の行政区域の在り方(道州制)の話にもつながる。
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