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Business & Economic Review 2007年02月号

【FORECAST】
景気上昇が続く2007年度関西経済-関西経済が抱えるリスクの評価と公的部門改革の必要性

2007年01月25日 吉本澄司、西浦瑞穂


要約

  1. 関西経済は2002年初め以降、景気上昇局面が続いている。今回の景気拡大は、長さでは「いざなぎ景気」に匹敵するが、中小企業や小企業で業況が良い企業の割合がまだ少ないことや、企業部門から家計部門への回復の波及が緩やかであることから、実感が伴わないという見方も根強い。

  2. 業況の水準は大企業に及ばないが、方向性としての景気回復は中小企業、小企業でも生じている。また、景気拡大の波及効果は家計部門にも及んできており、労働需給や雇用・賃金の指標が改善し、個人消費も回復してきている。

  3. 輸出や設備投資ほど変動が激しくない個人消費が成長に大きく寄与するようになれば、景気は更に安定性を増すが、まだ個人消費は、輸出や設備投資の成長寄与度が一気に落ちた場合にそのすべてを肩代わりできるほど強くはない。このため輸出と設備投資、とりわけ生産や企業収益などを通じて設備投資にも影響を及ぼすことになる輸出の動向が景気の先行きの鍵を握る。

  4. アメリカ経済は2%台の成長へのソフトランディングが見込まれ、ゼロ成長や1%成長に失速して関西のアメリカ向け輸出が大幅なマイナスになる事態は避けられるであろう。関西の中国向け輸出は、中国の実質経済成長率の動きに比べて振幅が極めて大きいが、中国で投資の行き過ぎを抑制しようとする動きによって成長ペースがやや緩やかになるとしても、一定以上の成長を確保するような政策運営がなされると考えられるため、中国向け輸出が失速する可能性は小さいとみられる。

  5. 2007年度の関西経済は、輸出と設備投資が2006年度の高い伸び率に比べると鈍化するが、個人消費の増加が景気の下支え役を果たすため、一時的に減速感が出ることはあっても、基調としては景気上昇が続き、実質経済成長率は1.9%と見込まれる。

  6. リスクシナリオとして、中国向け輸出、アメリカ向け輸出が10%減少する場合の影響を試算してみると、中国向け輸出10%減少の場合、関西の製造業の製造品出荷額対比マイナス0.7%の影響が出る。

    関西以外の地域(マイナス0.4%)や全国(マイナス0.5%)に比べると、関西は中国向け輸出が減少する場合に、より大きな影響を受ける。他方、アメリカ向け輸出10%減少の場合には、関西の製造品出荷額対比マイナス0.8%の影響となり、関西以外の地域(マイナス0.9%)や全国(マイナス0.9%)に比べて関西の影響はやや小さいが、中国向け輸出減少の影響を上回る。

  7. 関西の地方自治体は、景気拡大の効果が税収の回復として公的部門にも波及してきた機会をいかして行財政改革を前倒しに実施し、非効率な公的部門が存在する地域というイメージの早期払拭に努める必要がある。
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