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ビューポイント No.2021-007

自民総裁選・衆院選での政策論点ー「ウイズコロナ・フェーズⅡ」に優先すべき経済再生策

2021年09月22日 山田久


 今月29日に投開票される自民党総裁選挙は混戦の様相を呈しているが、そこにおける政策論争は次期衆院選における与党の選挙公約の土台となるものであり、対する野党も公約を発表し始めている。いま経済財政政策運営で優先的に求められているのは、やみくもに財政支出額を積み上げることではなく、新型コロナウイルス感染症の猛威にどう対処し、国民生活の安定を図っていくのか、そして、パンデミック下で炙り出された様々な面でのわが国の構造問題に対して、どのような打開策を講じていくのか―この2点に対する基本的な考え方と政策対応を示すことである。

 コロナ・パンデミック発生以来の推移を振り返ると、①感染拡大開始から最初の緊急事態宣言が解除されるまでの急激な景気悪化局面、②感染状況が比較的制御できていた昨年後半期、③昨年末から今年前半にかけて感染拡大の大きな波が2度繰り返された時期、④デルタ株の爆発的な流行がみられている現在に続く局面、に分けられる。

 菅内閣のパンデミック対応を評価すると、①②の局面では、主要先進国対比コロナの流行拡大は抑えられ、経済・雇用の悪化は相対的に小さく、海外からは評価されたものの、この時期の政策的な対応は必ずしも奏功していたとは言えない。失業率の上昇が低く抑えられたのは統計の見かけ上の面もあり、パンデミック発生直後に仕事を失った不安定労働者の多くが雇用調整助成金の対象から漏れた。目玉政策として打ち出された特別定額給付金は家計貯蓄として積み上がり、GoToキャンペーンも間接的に感染拡大を招くこととなって途中で打ち切られた。半面、2050年カーボンニュートラル宣言やデジタル庁の創設は、わが国の国際的潮流からの遅れを取り戻すための的確な政策であったと評価できる。

 ③④の局面は、医療体制の逼迫が国民の不安を高め、欧米対比景気回復の遅れが目立つ局面となった。そうした中で明らかになったのは、わが国の硬直的な医療体制の問題である。人口当たりの病床数は主要先進国のなかでは最も多く、しかも感染者数が少ないにもかかわらず、医療供給体制の逼迫が生じた。加えて、「有事」の体制整備が行われてこなかったという問題も露呈した。国家的な指揮統制の機能不全とコミュニケーションのプロの不在という問題があり、「専門家活用の拙さ」も明らかになった。

 ワクチン接種が進んでいけば、コロナウイルスに翻弄されストップ・アンド・ゴーの経済再生の模索を余儀なくされた「ウイズコロナ・フェーズⅠ」から、感染者数をコントロールしながら経済再生を着実に進める「ウイズコロナ・フェーズⅡ」への移行が求められる。そうしたなか、“ウイズコロナでの経済再生”という観点から、自民党総裁選・衆院選で重要争点とされるべき経済財政政策上の優先課題は以下の5点である。

 第1は医療供給体制の改革で、臨時医療施設(野戦病院)の設置や医療スタッフの輪番的派遣などの非常時緊急対応を整備することが急務である。同時に、家庭医制度の導入、施設・スタッフ等医療資源の効率的な再配置と連携強化など、将来のパンデミック発生も見据えた抜本改革プランが求められる。第2はウイズコロナ下の経済再開・再生プログラムで、その中心はワクチンパスポート・積極的検査・換気環境整備などをセットにした、感染拡大を局地的・一時的にとどめる体制づくりである。20兆円程度と試算できるペントアップデマンドが存在することを踏まえれば、GoToキャンペーンについては限定的なものとすべきで、アフターコロナを展望した飲食・宿泊業・レジャー関連産業の構造転換の支援を重視すべきである。

 第3に、雇用セーフティーネットの再構築で、穴のない第2のセーフティーネットを張るとともに、失職者が労働市場に戻ることを伴走型で支援する仕組みづくりが求められている。第4に、デジタル化・グリーン化というコロナ下で緊要性が増した構造改革の強力な推進に道筋をつけることである。そして第5に、子ども・若者教育強化・ジェンダー格差是正集中プログラムである。必要となる財政支出の財源としては、さしあたりは国債発行となるにせよ、東日本大震災時の被災地復興の財源として導入した復興特別税を参考にし、「パンデミック克服共済税(仮称)」の導入を検討すべきである。

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