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リサーチ・アイ No.2021-025

「国際金融都市・東京」構想の改訂案をどうみるか

2021年07月29日 野村拓也


本年7月21日、東京都は、2017年に策定された「国際金融都市・東京」構想の改訂案を公表。前回の構想では、税負担の軽減、行政手続きの簡素化など、環境整備のための施策が網羅的に掲げられていたが、改訂案は、注力分野を特定し、KPIを設定するなど、より実践的な内容。

具体的には、①グリーンファイナンス市場の整備等の「社会課題解決に貢献する金融市場構築」、②フィンテックの活用・関連企業誘致等の「金融のデジタライゼーション」、③資産運用業者誘致・支援や金融系人材育成等の「金融関連プレーヤーの集積」に注力。

また、2030年に目指すべきKPIとして、国内公募のグリーンボンド発行金額3兆円(2020年比2.5倍)、フィンテック企業数(都内)400社(同4倍)、キャッシュレス比率80%、資産運用業者数(都内)900社(同2.4倍)などを設定。このほか、同構想を通じた金融産業の活性化による都内GDPの押上げ効果を10兆円(2019年の都内GDPの9%に相当)と試算。

改訂案全体としては、実践的かつ意欲的な内容であるが、施策の中身は、他の国際金融都市の施策と比較して目新しいとは言えない一方、KPIは、フィンテック企業数や資産運用業者数など、かなり高い水準であり、実現には高いハードル。

個別の施策では、グリーンファイナンスのみならず、世界的に発行額が増加しているソーシャルボンドやサステナブルボンドを含む、ESG全体を対象とした市場作りを志向すべき。また、株式時価総額がこの1年で上海や香港に追い抜かれたことを踏まえれば、資産運用業者の創業・育成に加え、国内向け投資へのインセンティブ付与等も検討課題に。


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