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JRIレビュー Vol.8, No.92

日本経済見通し

2021年08月13日 村瀬拓人


日本経済は、新型コロナの影響で一進一退の状況にある。輸出の増加を受け製造業が堅調な一方、度重なる緊急事態宣言の発令で個人向けサービスの低迷が続くなど、業種による景況感の二極化も鮮明である。

当面は、海外経済の回復を背景とした輸出の増加が、景気を下支えする見通しである。世界的なIT需要の拡大や設備投資需要の回復を追い風に、電子部品や資本財が輸出のけん引役になる。

設備投資も、総じて持ち直しが続く見込みである。ただし、設備投資の積極化は、収益環境が改善する製造業が中心であり、新型コロナの悪影響が大きい個人向けサービスでは慎重な投資姿勢が続くなど、業種によりばらつきが顕著となろう。

個人消費は、飲食店への休業・時短要請といった新型コロナの感染を抑制するための活動制約が重石となるため、当面は停滞感の強い状況が続く公算が大きい。もっとも、ワクチン接種が進むにつれて、消費活動も徐々に持ち直しに転じる見込みである。これまでの接種動向などを踏まえると、消費活動は、2021年秋以降、正常化の度合いを強め、2022年初にほぼ正常化すると想定される。

以上を踏まえると、2021年度後半にかけて回復ペースが加速し、2022年4〜6月期には、GDPがコロナ前のピーク水準を回復すると見込まれる。もっとも、2022年度に入ると、日本経済が抱える「需要構造の変化」と「成長力の低下」という二つの課題が顕在化し、成長率が大幅に鈍化する見通しである。

コロナ後の低成長を回避するには、企業がコロナ後の経済・社会構造の変化を見据え、ビジネスモデルの変革に努めるとともに、政府も「コロナ禍で打撃を受けた企業の支援」、「人材の流動化」、「デジタル投資の促進」への取り組みを強化する必要がある。
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