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リサーチ・レポート No.2021-002

過剰流動性下で高まるシャドーバンキングセクターでの金融リスク~金融リスクにも配慮したマクロ金融・経済政策を~

2021年05月19日 谷口栄治


コロナ禍の下での経済下支えのため、各国中央銀行が緩和的な金融政策をとり、流動性相場の様相を呈するなか、2021年に入り金融市場の過熱感や歪みを示唆する事例が発生。大別すれば、以下の通り。
① 非伝統的な金融資産・領域への資金流入
・世界的な仮想通貨、デジタル資産(Non-Fungible Token, NFT)の価格高騰
・米国における特別買収目的会社(SPAC)に対する投資過熱
② 個人投資家発の金融市場の混乱
・米国で手数料無料の投資アプリを用いる個人投資家(ロビンフッダー)が、SNSを介して結託、
 ヘッジファンドの空売りに対抗してGameStop社株を買い占め、同社の株価が乱高下
③ シャドーバンキング・セクターにおけるリスク顕在化
・サプライチェーン・ファイナンスを展開する英Greensillが経営破綻、債権販売していた投資ファンドも閉鎖
・米投資ファンドArchegos Capitalとの取引において大手投資銀行が多額の損失を計上。

こうした金融リスクが顕在化した背景として、低金利・低インフレ・低成長・過剰流動性といった状況の下、様々な経済主体がリスクテイクを積極化している点を指摘可能。各国当局はそれぞれの事象の問題点をしっかりと把握した上で、必要に応じシャドーバンキング・セクター等に対して、監督や規制の強化(ミクロプルーデンス政策、マクロプルーデンス政策)を進めていくことが重要。

とりわけ、金融当局がこうした新たな金融リスクを十分に把握できておらず、対応が後追いになっていることは懸念点。現状では予見しにくいシャドーバンキング関連の問題など、金融当局が把握しきれていないリスクが水面下で蓄積し、金融システム全体の問題につながることがないか等、注視していく必要あり。

根源的な問題は過剰流動性の存在。金融システム全般への影響力を有する金融政策は危機管理の点でも重要なツールであり、中長期的な金融リスクの火種にならないよう、実体経済の動向を踏まえつつ、金融政策を適切に修正していくことが期待される。


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