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リサーチ・フォーカス No.2021-008

感染爆発に見舞われるインド経済の先行きをどうみるか

2021年05月18日 熊谷章太郎


新型コロナの感染爆発を受けて、インド経済が急速に悪化している。医療現場は崩壊の危機に陥っており、感染拡大抑制に向けた活動制限の再厳格化や工業用酸素の医療用酸素への転用に伴う一部の工場の操業停止など、それへの対応が様々なルートから景気に悪影響を及ぼしている。

今後、景気がどの程度悪化するかは感染爆発がいつまで続くかに左右されるが、複数の研究機関の感染シミュレーションは、新規感染者数がまもなくピークアウトし、先行き大幅に減少する可能性を示唆している。その通りになれば、今回の感染爆発に伴う景気悪化は一時的なものにとどまり、年後半に回復軌道に復帰するというのが、あり得べきシナリオとなる。ただし、インドの医療体制の脆弱さを踏まえると、感染ピークアウト後もしばらくは感染再拡大に向けた活動制限が残存し、景気の回復ペースは緩やかなものになる可能性が高いと見込まれる。

さらに、①ウイルスのさらなる変異が起こるリスクがあること、②商業銀行の不良債権比率の上昇などをきっかけに金融システムが不安定化するリスクがあること、③大幅な財政赤字を抱える状況下、財政拡大を通じた景気下支え余力が限られること、などを踏まえると、遠からず感染ピークアウトが見られても、少なくとも年内は景気が下振れしやすい状況が続くと見ておくべきである。
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