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リサーチ・フォーカス No.2020-045

対象を絞った現金給付で感染防止と経済活動の両立を―大都市限定なら年2~4兆円の財政負担にとどまる見込み―

2021年03月12日 西岡慎一


わが国経済は、2度の緊急事態宣言による活動制限で厳しい状況に陥っている。経済の悪化は、対面型サービス産業に集中しており、しかもこの悪化は、感染リスクが比較的小さい地域にも及んでいる。対面型サービス産業には、借り入れ余力に乏しい中小企業が多く、活動制限が繰り返されると経営破綻や失業が表面化し、経済全体の中長期的な成長力が損なわれる恐れがある。

こうした事態を回避するには、エリアを絞った早期の徹底した感染対策が重要である。この点、新設された「まん延防止等重点措置」がカギを握る。ただし、現行制度は、次の3点で見直す余地がある。第1に、時短だけでなく休業命令も可能にすべきである。第2に、一律定額の現金給付を損失見合いに改めるべきである。第3に、現金給付の対象を時短企業だけでなく、経営が悪化した中小企業全般に広げるべきである。これにより、国・自治体は休業命令など徹底した対策を迅速に実施でき、企業もこれに速やかに応じることができる。

措置の発動が3~6ヵ月に及んだとしても、発動エリアを大都市圏に限定できれば、現金給付に必要な財政手当ては年間2~4兆円程度の負担に納まると試算される。一方、発動が全国に及ぶと、負担額は年間4~9兆円と2.5 倍に膨らむ。実効性のある現金給付と徹底した対策を併用して、発動地域を絞ることができれば、際限のない財政膨張に陥ることなく、感染防止と経済活動を両立させることができる。
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