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リサーチ・フォーカス No.2020-043

深刻さ増す中小飲食店の経営難―協力金制度の見直しで経済への影響緩和を―

2021年02月26日 西岡慎一


2度にわたる緊急事態宣言の発動で、わが国の飲食店は、深刻な経営難に直面している。仮に、3度目の宣言が発動されるなど、さらなる営業制限が課せられると、多くの飲食店で経営の行き詰まりが表面化しよう。特に注意が必要なのは「零細でない中小飲食店」、資本金でいえば1千万円から1億円クラスの企業である。

「零細でない中小飲食店」が深刻な状況に追い込まれる背後には、「協力金」の恩恵が及ばないうえに、借り入れ余力もないという事情がある。中小企業とはいえ、このクラスの規模になると1日6万円の協力金では経営を到底維持できない。しかも、もともと高レバレッジで収益力が低い傾向がある。営業制限で経営状態の回復見通しが遠のけば、運転資金などの追加的な借り入れも困難化しよう。

このような「零細でない中小飲食店」は、飲食業全体で5割程度の売上シェアを占めており、有利子負債は3兆円、従業員は130 万人にのぼる。昨年の倒産企業の負債総額が全産業で1.2 兆円、経済全体の失業者が190 万人であったことを踏まえると、これら飲食店の経営難は、経済全体に無視しえない悪影響を及ぼす。今後の感染再拡大に備えるためにも、一律定額の協力金を企業規模に応じた給付に見直す余地がある。
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