2009年03月02日 |
「次世代農業コンソーシアム」の設立について |
株式会社日本総合研究所(東京都千代田区、代表取締役社長 木本泰行、以下日本総研)は、新たな農業ビジネスの創出と持続的な農業基盤の構築を目的に、2009年2月に「次世代農業コンソーシアム」を設立し、本日、小売業、商社、プラントメーカー等の民間企業13社の参加を得て設立総会を開催いたしました。 本コンソーシアムは、通常の規格品よりも高価格にて販売できる「セミプレミアム農産物」のマーケット創出や、地域資源の活用よる持続可能な地域インフラの構築を目指し、新たな農業ビジネスモデルの検討とモデルプロジェクトの遂行を行う予定です。 | |||||||
※参加企業は、カワサキプラントシステムズ株式会社、JFEライフ株式会社、株式会社神鋼環境ソリューション、株式会社セブン&アイ・ホールディングス、大和ハウス工業株式会社、株式会社ニチレイ、渡辺パイプ株式会社、ほか総合商社、小売企業、ガス会社等、計13社です。(50音順、敬称略) | |||||||
1.設立の背景 | |||||||
約80兆円の市場規模を有する農業・食品産業は、消費者の「食の安心・安全」に対する意識の高揚を追い風に、大きなビジネスチャンスが存在するものとして、産業界から熱い注目を集めています。また、疲弊する地方の産業再生策の軸として、雇用の創出効果も期待されています。 一方、農業ビジネスには特有のノウハウ・マネジメントが不可欠です。生産から流通・販売までのノウハウやマーケティング力のない他産業企業の参入は困難な状況であり、過去に参入を図った企業の撤退も少なくありません。 | |||||||
2.本コンソーシアムの概要 | |||||||
本コンソーシアムでは、民間企業と生産者が共同で検討・実証を進め、収益性と持続性を有するビジネスモデルを構築し、日本農業の活性化を目指します。 | |||||||
(1)活動内容 | |||||||
1) 「セミプレミアム農産物」のマーケット創出とネットワーク構築 従来の農業活性化は、高価な肉類や果物をはじめとするトップブランド農産物を軸としていました。しかし、トップブランド農産物には地域固有性があり、かつ希少性がブランド価値の源泉のため、普遍的な農業活性化策ではありません。また、市場規模も限定的であることから、多くの民間企業が事業展開するのは難しいと考えます。 そこで本コンソーシアムでは、トップブランド農産物ではなく、新たに「セミプレミアム農産物」というマーケットの創出を図ります。セミプレミアム農産物を、美味で安心・安全で、かつ環境に配慮した高付加価値農産物と定義し、「ちょっと良いもの」を実感できるようにすることにより、通常規格の農産物との明確な差別化を実現します。(参考資料1) また、セミプレミアム農産物の流通については、生産者と小売企業・外食企業・食品加工企業等のネットワーク化を進めていきます。そこで、全国約50の農業地域から農業生産者等にオブザーバーとして本コンソーシアムに参加をいただき、コンソーシアムメンバー企業との直接取引(農産物ダイレクト流通)の実証事業を実施することを計画しています。 | |||||||
2) 持続可能な地域インフラの構築 昨年の世界的な燃料・肥料・飼料価格の高騰は、多くの生産者の収益を圧迫する結果となりました。セミプレミアム農産物を量・価格の両面で安定的に供給するためには、資源価格の変動の影響を受けにくく、環境に調和した農業インフラ・地域インフラが不可欠です。 そこで、本コンソーシアムは地域に豊富に存在するバイオマスに着目し、家畜排せつ物や食品廃棄物をバイオガス(メタンガス)、エコフィード(再生飼料)、堆肥・液肥として地域内で活用する地域インフラの構築を目指します。 また、これまでエネルギー消費型の農法として捉えられてきた温室農業や植物工場農業を、新エネルギーの活用やトリジェネレーションの導入による環境調和型に改良する取り組みを行います。さらに、これらの農法は露地栽培に比べて作業負荷が小さく、女性や高齢者等の雇用創出にも資することから、モデルプロジェクトの実行を通したノウハウ集積と普及啓発を行います。 | |||||||
(2)活動期間 | |||||||
| |||||||
3.設立総会 | |||||||
本日開催した設立総会では、コンソーシアムメンバー以外の農業ビジネスに関心のある企業約100社の出席もいただき、本コンソーシアムのコンセプトと活動内容についてプレゼンテーションを行うとともに、幻の焼酎と言われる「森伊蔵」や、黒豚、ぶり、かんぱちなど地域の資源を活用した地域興しを進めている鹿児島県垂水(たるみず)市の水迫順一市長による、次世代型の農業のあり方などについて基調講演が行われました。 | |||||||
【ご参考 : 次世代農業コンソーシアムホームページ】 http://www.jri.co.jp/service/special/content4/corner22/ | |||||||
参考資料1:セミプレミアム農産物の発掘 | |||||||
参考資料2:コンソーシアムの描くビジネスモデル |