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リサーチ・アイ No.2020-069

緊急事態宣言の延長でGDPは4.1兆円下振れ ―コロナ前水準に戻るタイミングがさらに後ずれ―

2021年02月02日 村瀬拓人


新型コロナの流行による医療提供体制のひっ迫が続くなか、政府は、東京都など10都府県を対象に、2月7日までとしていた緊急事態宣言の発令期間の延長を決定。これに伴い成長率見通しを下方修正。なお、今回の改訂見通しでは、3月7日まで10都府県の緊急事態宣言が続くと想定。

緊急事態宣言の延長にあたっては、対象とする地域の追加や、時短を要請する業種の拡大などは行われなかったものの、活動制限が長期化することで、対象地域を中心に消費活動は、昨年春の緊急事態宣言時に迫る落ち込みとなる可能性。さらに、宣言の延長に伴い、飲食・宿泊など個人向けサービスを中心に、雇用の維持や事業の継続をあきらめる企業・事業者が少なからず出てくるため、失業率の上昇や倒産・廃業の増加も避けられず。

緊急事態宣言の延長による追加のGDPの減少額(2021年通年)は、▲4.1兆円と想定。延長前に見込んでいた減少額は▲2.0兆円であり、宣言の延長による悪影響はかなり大きなインパクトに。海外需要の下振れが限定的なため、昨年春と比べGDPの落ち込みは小さいものの、1~3月期の成長率は年率▲10%近いマイナス成長となる見通し。

政府の予定通りに緊急事態宣言が解除できれば、4~6月期は経済活動の水準が回復することで、高めのプラス成長が実現する可能性。もっとも、夏場以降は再び成長率が大幅に鈍化。新型コロナの流行を完全に収束させることは困難とみられるほか、ワクチンの普及にも時間を要するため、景気の急回復は期待できない見通し。

2020年度の成長率は、緊急事態宣言の再発令の影響もあり▲5.3%のマイナス成長。2021年度は+3.3%、2022年度は+1.7%とプラス成長に転じるものの、2020年度の落ち込みからの持ち直しとしては弱く、GDPが新型コロナ流行前のピーク水準を回復するのは、2023年度にずれ込む見通し。
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