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2008年12月11日

海外と国内他地域から寒気吹込む関西経済 ~2009年度は8年ぶりのマイナス成長へ~

要 旨
1.  関西経済は、貿易構造で中心となっているアジア向け輸出が欧米向けほど早くから落ち込まなかったことや、大型投資の実施などによって設備投資が堅調であることから、減速の程度が緩やかになる可能性も期待されたが、世界経済混乱の影響をより強く受けている他地域との地域間取引が落ち込むという要因を考慮すると、その経路を通じて「寒気」が流れ込んで来るため、タイムラグはあっても、結局は関西経済でも「冷え込み」が強まると考えられる。
2.  関西以外の地域での輸出減少(10%減)による関西の製造業の出荷額・生産額への影響を試算すると、輸出先別では、米国向けにより0.27%減、EU向けで0.15%減、中国向けで0.15%減、アジアNIEs・ASEAN向けで0.32%減などとなる。地域別では関東の輸出減少による影響が最も大きく(マイナス0.40%)、以下、中部(マイナス0.35%)、中国(マイナス0.13%)、九州(マイナス0.09%)などとなる。また、関西以外の地域での設備投資減少(10%減)による影響では、関西の製造業の出荷額・生産額は1.72%減少する。このうち関東の設備投資減少による影響が0.69%減と最も大きく、以下、中部(0.44%減)、中国(0.19%減)、九州(0.18%減)などである。
3.  地域間取引を通じた景気減速要因に加えて、関西自身の輸出も、欧米経済の悪化がアジア経済に波及することで減少に向かうとみられる。関西の輸出が10%減少する場合の影響はアジアNIEs・ASEAN向けが1.26%減と最も大きく、以下、中国向け(0.62%減)、EU向け(0.46%減)、米国向け(0.46%減)などとなる。また、地域間取引(移出)や輸出の落ち込みによる生産の減少、稼働率の低下、企業収益の悪化などを受けて関西の設備投資にも抑制傾向が強まるとみられる。関西で地域内の設備投資が10%減少すると関西の製造業の出荷額・生産額にマイナス0.50%の影響が生じる。
4.  関西の実質雇用者報酬の変動要因のうち、一人当たり名目賃金と雇用者数は世界経済の持ち直しなどにより企業業績が上向きに転じるまで減少基調が続くとみられるが、物価は2009年度には低下し、実質所得を押し上げる方向に変わるとみられる。また関西の個人消費に対する定額給付金の影響は名目でプラス0.4%程度と見込まれる。これらにより個人消費が景気を下支えするが、雇用・賃金の減少が見込まれる状況であるため、成長を大きく押し上げるには至らない。
5.  2009年度の関西経済では、これまで景気を牽引してきた輸出が、アジア通貨危機、ITバブル崩壊によって大きく減少した1998年度、2001年度以来の前年割れになると見込まれる。また設備投資も、収益環境の悪化から、中小企業を中心に抑制の動きが一層強まると考えられる。個人消費は、物価下落による実質購買力押し上げがプラス要因となって、景気を下支えするが、一人当たり名目賃金や雇用の減少が見込まれる状況であるため、成長を大きく押し上げるには力不足である。このように成長の牽引役が不在となるため、2009年度の関西の実質経済成長率 は、2008年度(0.2%)を下回るマイナス0.8%と見込まれる。
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