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リサーチ・フォーカス No.2020-037

中国アント・グループを巡る騒動の背景とインプリケーション

2021年01月18日 谷口栄治


アント・グループは、中国の大手IT 企業アリババ・グループの金融子会社として2014年10月に設立。オンライン決済サービスのアリペイのほか、その顧客基盤やプラットフォームも活用し、貸出、資産運用、保険、信用評価など多様なサービスを提供する複合的な金融機関へ進化。とりわけ貸出ビジネスについて、同社は申込の受付、信用情報の提供等を行う一方、実際の貸出は提携金融機関が行うというビジネスモデルで業容を拡大させており、足元では同社最大の収益シェアを占める事業に。

2020年11月3日、アント・グループは計画していた新規株式公開(IPO)を延期すると突如発表。その背景には、中国の金融システムにおいて同社のプレゼンスが急速に拡大してきたことに対する当局の懸念があるとされており、その後も同社に対する規制強化や行政指導等が行われている状況。

具体的に、プラットフォーム上での貸出仲介について、一定以上の自己資金の拠出が義務付けられたほか、預金商品の提供も停止。加えて、規制の導入やビジネスモデル見直しを求める当局からの指示等を受けて、金融持株会社の設立を検討。また2021年の中国における重要政策課題として、大手IT企業を念頭に、独占の禁止が挙げられたほか、アリババ・グループに対して独占禁止法違反の疑いで当局による調査が進行中。アント・グループやアリババ・グループはビジネスモデルの抜本的な見直しを求められている状況。

こうしたアント・グループのIPO 延期や、その後のアント・グループを標的とした規制強化といった一連の動きは、今後のグローバルな金融・経済環境を見るうえでいくつかの視点を提供している。とりわけ、①国際金融システムにおける中国のプレゼンス拡大、②FinTech 企業に対する適切な金融規制・監督の在り方、③グローバルベースで検討が進められているプラットフォーマー規制への影響、の3つのポイントについて、より一層注視していく必要があろう。

中国アント・グループを巡る騒動の背景とインプリケーション(PDF:995KB)
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