コンサルティングサービス
経営コラム
経済・政策レポート
会社情報

会社情報


2008年12月10日

景気後退が長期化するわが国経済 ~2年連続のマイナス成長に~(2次QE後修正)

< 要 約 >
1.  2007年末に後退局面入りしたわが国経済は、足元で調整が一段と深刻化。7~9月期の成長率が2四半期連続のマイナス成長になったほか、企業マインド、消費者マインドも急速に悪化。
2.  夏場ごろから景気悪化の要因が大きく変化。それまでは資源価格の高騰が企業部門・家計部門を圧迫していたのに対し、足元では金融不安の深刻化に伴う世界経済の減速、株安・円高が大きなマイナス要因に。資源価格はプラス要因に転化。
3.  したがって、今後のわが国経済を見通すうえでのポイントは以下の3点。
1)マーケット変動の影響
 まず為替相場をみると、ほぼ全ての通貨に対して円高が進行したため、実効レートが約2割上昇。これにより、輸出企業を中心に為替差損が発生するため、2008年度下期の企業業績が下振れ。また、2009年半ばごろから、輸出数量の減少、輸入数量の増加を通じて、国内生産を下押しする見通し。
 次に、株式市場では、時価総額ベースでみて過去20年間の最低水準に。マインドの悪化、逆資産効果による消費押し下げ、企業部門での含み損発生などを通じて、2009年度にかけて景気にマイナス影響。
2)海外経済と輸出
 地域別に展望すると、欧米向け輸出は景気失速を受けて減少傾向に歯止めがかからないほか、資源国向けも資源価格の下落により減少に転じる公算大。中国向けも増勢が大幅に鈍化する見込み。さらに、円高のマイナス影響も徐々に顕在化。これらの結果、2009年度末まで、輸出の減少傾向が持続する見通し。
3)資源価格下落の影響
  一方、資源価格の下落は、輸入支払額の減少(所得流入)を通じて、わが国経済にプラス影響。企業収益の拡大要因となるほか、物価下落を通じて個人消費も押し上げ。とりわけ、内需低迷により低価格競争も広がるため、消費者物価は大幅なマイナスに転じると予想。この結果、所得流入の配分は、企業(コスト減による収益改善)よりも家計(物価下落による購買力向上)の方が大きくなる見通し。
4.  国内セクター別に展望すると以下の通り。
1)企業部門
 企業収益は、原材料コストの低減によりマイナス幅は縮小するものの、内外景気の悪化による売上減により、減益基調は持続。これに加えて、設備稼働率も急低下するため、設備投資は減少傾向が強まる見通し。業種別にみると、加工型製造業での業績悪化が深刻化する一方、非製造業では資源価格下落のプラス影響によりマイナス影響は相対的に小さくなるなど、好不調の違いが鮮明に。
2)家計部門
 定額給付金が可処分所得を押し上げるものの、景気後退による雇用者報酬の減少、消費マインドの悪化により、2009年度の名目消費は6年ぶりに減少。しかし、物価が大幅に下落するため、実質消費の増勢は拡大。景気の下支え役に。
5.  以上を踏まえてわが国景気を展望すると、景気後退局面が長期化する見通し。個人消費は持ち直すものの、欧米景気の低迷長期化、マーケット混乱などを背景に、企業部門の業況が深刻化することが原因。これは前回2001年の景気後退期と同様の姿。
 2008年度は4四半期連続のマイナス成長になるほか、年度ベースでも2年連続のマイナス成長に陥る見通し。ただし、実質GDIなどの所得指標は改善の方向。
< 目 次 >
 
  1. 現状


  2. マーケット変動の影響
    (1)為替レート
    (2)株価


  3. 海外経済と輸出
    (1)欧米経済
    (2)新興国経済
    (3)輸出の展望


  4. 資源価格下落の影響
    (1)マクロ的影響
    (2)物価見通し


  5. 国内経済
    (1)企業部門
    (2)産業別の影響
    (3)家計部門
    (3)景気のコース
会社情報
社長メッセージ

会社概要

事業内容

日本総研グループ
ニュースリリース

国内拠点

海外拠点
人材への取り組み
環境への取り組み
ダイバーシティ&健康経営
会社案内(PDF版)
メディア掲載・書籍
インターンシップ

会社情報に関する
お問い合わせ