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【農業】
農業経営を支援するサービスの特徴と農業者のニーズ

2021年01月13日 福田彩乃


 農業者が抱える課題は、労働力不足への対応や機械導入コストの高額化、販路確保など多岐にわたる。さらにここ数年は、異常気象の頻発や新型コロナウイルスの影響等、環境の変化も大きい。
 農業者は環境変化へ柔軟に対応しながら経営課題を解決していく必要があるが、家族経営体の減少等により、従来のような地域内での助け合いは難しくなりつつある。そのような中、民間事業者によって農業者を支援するサービスが提供され始めている。ここではサービスの特徴と農業者のニーズについて紹介する。

ヒト・モノの課題に対応するサービス
 近年、農業者向けに提供されているサービスを見ると、労働力不足と機械導入コストの軽減に対応するものが先行している。
 労働力不足へ対応するサービスは、農業に関心ある人材等と農業者をマッチングさせることで、農作業を滞りなく進めることに貢献するものである。一般に、農業は1年の中で作業の多い時期(農繁期)と少ない時期(農閑期)があるが、特に農繁期の労働力確保は重要な経営課題の一つである。果樹作を例にとると、収穫のタイミングを逃さないよう、寝る間を惜しんで作業するケースもあり、猫の手も借りたいほどに人手が必要だという。特に2020年は新型コロナウイルスの影響で、観光農園をオープンできなかったために観光客による収穫作業が見込めず、経営体の内部スタッフによる収穫が余儀なくされた場合などに、サービスの活用が見られた。
 機械導入については、リースやレンタルで導入の初期費用の低減に寄与することが期待されている。初期費用を抑えたい新規就農者や、平均気温が上昇する中、新たな品目の作付けに挑戦する経営体にとって、数千万円規模の農機を複数台揃えるのは経営負担が大きい。柔軟性を確保しつつ新たな取り組みを展開する場合、こうしたサービスの活用余地がある。

栽培データのシェアリングにもニーズあり
 このように、ヒト(労働力)やモノ(機械)のシェアリング・マッチングによって農業者の課題解決に貢献しようとするサービスが登場しているが、日本総研独自のヒアリングによると、栽培データや知識・経験を、農業者間・販売先とシェアするサービスにもニーズがあることが分かった。 農業者間の知識・経験共有については、大経営規模が集まるコミュニティや組織はあるものの、意欲ある中小規模の農業者や、新規就農者、Iターン・Uターン組が情報交換できる場は多くはない。スマート農機等で取得した栽培データを含め、気軽に情報共有できる方法が必要との声があった。また販売先と栽培データや生産・出荷の見通しを共有することができれば、安定供給に繋げることができるとの指摘もあった。

日本総研の「V-farmersサービス」
 日本総研では、こうしたニーズに対応するサービスとして「V-farmersサービス」の検討を進めている。V-farmersサービスでは、統一されたフォーマットに沿ってデータを管理することで、農業者間のデータ共有を容易にする。さらに収量予測技術の活用で生産の見通しを立て、そのデータを活用することで販路確保を支援する狙いである。様々な環境変化・課題を前にしても、挑戦し続ける農業者をサポートできるサービスを立ち上げていきたい。


※記事は執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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