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リサーチ・フォーカス No.2020-035

コロナ禍で悪化した女性の雇用・所得環境-大幅な収入減に直面する非正規女性に集中的な支援を

2020年12月23日 井上恵理菜


今回のコロナ禍では、女性の雇用・所得環境が大きく悪化したことが特徴的である。特に、女性の非正規雇用者数は過去1年間で79 万人も減少した。背景には、女性の多くが、もともと景気悪化局面でいち早く雇用が縮小しやすい非正規の地位にあることと、コロナ禍では女性の雇用先として多い対人サービス業で厳しい業績悪化に見舞われたことが挙げられる。

産業別にみると、コロナ禍での人々の消費行動や働き方の変化に対応しやすいか否かにより、雇用・所得環境の変化に大きな差がある。特に、「宿泊業、飲食サービス業」は、女性の非正規が雇用者数全体の過半数を占めるため、過去1年間で非正規女性の雇用が25 万人減少するなど最も大きな影響を受けた。雇用者の属性は、有配偶・世帯主の配偶者・高卒以下の学歴の女性が多い。

共働き世帯や単身世帯、ひとり親世帯が増えるなか、家計における非正規女性の収入の重要性は増しており、コロナ禍は一部世帯にとっては深刻な家計の収入減少を引き起こしているとみられる。労働力調査と毎月勤労統計を基に試算すると、雇用者世帯の1割が大幅な収入減(失業や非労働力化を含め、世帯主または配偶者が20%超の収入減)に直面しているとの推計結果が得られた。

短期的な政策対応としては、特に大幅な収入減に直面している世帯への給付が必要である。中長期的には、学び直しへの援助を通じて、新しい生活様式で生まれた、あるいはもともと雇用が不足していた産業での就業を支援していくことが求められる。

・コロナ禍で悪化した女性の雇用・所得環境-大幅な収入減に直面する非正規女性に集中的な支援を(PDF:693KB)
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