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リサーチ・フォーカス No.2020-034

韓国のデジタル・ガバメントー行政改革と一体となった中央集権・組織横断型の取り組み

2020年12月22日 野村敦子


韓国のデジタル・ガバメントの取り組みは、国際的な評価で常に上位に位置している。現在につながる取り組みは2000年代初めから本格的に始まったが、その背景には、アジア通貨危機に伴う公的セクターの合理化・効率化の要請、ITの導入・活用によるIT産業の振興と経済活性化、ならびに政府の透明性向上による民主化の促進などがある。

1998年に就任した金大中大統領のもと、2001年に電子政府法が施行され、行政業務の情報化が進んだ。続く廬武鉉政権下では、国民向けポータルサイトなど今日のデジタル・ガバメントの基盤が整備された。それ以降の各政権においても、電子政府は重点政策の一つに据えられており、現在の文寅在大統領は、AIやブロックチェーンを活用したインテリジェント政府構築を目指すデジタルニューディール政策を打ち出している。

韓国の代表的なデジタル行政サービスとして、住民登録番号を基盤としたワンストップポータルの「政府24」が挙げられる。政府24では、国民が役所の窓口に訪問することなく、各種行政手続をオンラインで完結可能である。韓国国民のデジタル・ガバメントの利用率は87.6%、満足度は97.8%に達する。韓国政府によれば、政府24のサービス開始以降、年間1.5兆ウォン(約1,420億円)の経済的・社会的コストが削減されている。

韓国のデジタル・ガバメントでは、組織横断的な取り組みが効率的に推進されている。その特長は、①大統領の指示のもと行政安全部を中心とする一元的なガバナンス体制の構築、②情報化振興院や地域情報開発院、行政情報共同利用センターなど、技術支援組織や共通基盤の整備、③電子政府法による行政機関・職員の義務と役割の明確化、の3点に整理できる。

なかでも、わが国が参考にすべき視点として、①体制:トップのコミットメントと法的な裏付け、②共通化:徹底した標準化と重複投資の回避、③意識:単なる情報化ではない行政改革・業務改革(BPR:Business Process Reengineering)の断行、④人材:プロフェッショナルの採用と政府職員・市民の情報化教育、が挙げられる。わが国でもデジタル・ガバメントを巡る議論が活発化しているが、韓国の取り組みの表から見える部分ばかりでなく、その背後で蓄積されている経験や教訓から賢く学ぶ姿勢が求められよう。

・韓国のデジタル・ガバメントー行政改革と一体となった中央集権・組織横断型の取り組み(PDF:1591KB)
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