日銀大阪支店「短観」(近畿地区)12月調査は、業況判断DI(全産業・全規模)が▲20となり、9月調査から+12ポイントと2四半期連続で改善。製造業が▲24、非製造業が▲16と、それぞれ+15、+9ポイントの改善(図表1)。業種別にみても改善の動きは幅広い(図表2)。もっとも、DIの水準はなおも大幅なマイナス圏にあり、非製造業を中心に先行きに慎重な見方が強い。
2020年度の企業業績(全規模・全産業)は売上高が前年度比▲8.2%、経常利益が同▲26.3%と、前回調査に比べてそれぞれ▲2.5%ポイント、▲11.5%ポイントの下方修正。長引くコロナ禍で収益に下押し圧力が強いものの、設備投資計画(全産業・全規模、ソフトウェアを含み土地投資額を除く)は前年度比+3.5%と、前回調査比▲0.8%ポイントの下方修正にとどまり、なおも拡大計画を維持。
設備投資計画の修正パターンを過去と比較してみると、収益が高水準で推移した近年の同時期と、足許の下方修正幅はほぼ変わらず(図表3)。収益状況の厳しさの割には今のところ設備投資の先送りの動きが限定的。世界経済が最悪期を脱したことから、関西企業が先行きへ回復期待を失っていないことを示唆する半面、足許ではGo To キャンペーンの見直しなど、緒に就いた非製造業の回復が再び停滞する可能性。
企業の業況改善に伴い、雇用過剰感はピークアウト。雇用人員判断DI(全産業・全規模)は▲5と前回調査から4ポイントの「不足超」幅拡大と改善方向にあり、先行きも「不足超」幅は拡大見込み(図表4)。もっとも、水準はコロナ前を大きく下回り、雇用情勢の厳しさは持続。
近畿短観(2020年12月調査)でみる関西経済(PDF:284KB)
