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2008年08月01日

社会移動が加速する人口の地域偏在 ~急速に進む地方からの人口移動に警鐘を鳴らす~

レポートのねらい
 近年、東京など大都市に向けた地方からの人口移動が顕著になっている。そのため、国立社会保障・人口問題研究所(以後、社人研)が示している「日本の都道府県別将来推計人口」よりも、人口の地域偏在が強まる可能性が高い。地方からの人口の流出は、地域の活力をそぎ、地方経済の地盤沈下をもたらす。当然、人口の流出が加速し、減少がより進む地域では、将来を見据えた社会インフラの整備のあり方や財政の持続可能性にも影響を与える。その結果、わが国では地方の衰退と首都圏の繁栄という二極化が一層進展し、「地方を財政的に支える東京」というこれまで以上に中央集権的な国家へと向かうことになる。しかし、東京への人口集中が進む一方で、厳しい状況から抜けられない地方財政を見る限り、そうした国家の持続可能性に対する懐疑的な見方を拭い去ることは出来ない。
 本レポートでは、地域の自立を念頭に、近年の人の移動状況を改めて確認し、人口を切り口に今後実施すべき政策の方向性を考える。
要  約
1. 昨今、地方から生産年齢の幅広い年齢層が転出超過になっている。その理由は、新卒者の就職先として、首都圏や愛知県などの企業への志向性が高まっていることと、地方の支所や営業所の人員削減などが影響している。
2. このような社会移動の状況が長期にわたり持続すれば、国立社会保障・人口問題研究所が2007年5月に公表した「日本の都道府県別将来推計人口」が描く将来像よりも大きな人口の偏在を生じる。地方からは生産年齢人口が流出する一方、東京などでは一般に言われる生産年齢人口の減少はなく、今後も現状維持もしくは増加する。
3. 地方から東京などへの人口移動の進展は、(1)地方における成長の担い手の喪失、(2)インフラ投資の非効率性、をもたらす。一方、東京都に人口が集中しても、地方が衰退し続ける現状では、わが国全体の成長率を維持していくために、東京都ではバブル期並みの成長が必要になる。これは非現実的であり、人口が東京に集中し、成長を一手に引き受ける中央集権的国家のあり方は、中長期的に見て限界にある。
4. 地方においては、人口の流出が地域経済の落ち込みを招き、それが一層の人口流出を生じる人口流出スパイラルに落ち込む可能性が高い。一人でも多くの若い世代を地域につなぎとめ、彼らの活動により地域を活性化させるには、地域主導で域内への投資の拡大を図り、雇用の確保に努めなければならない。各地域がそれぞれのアイデアや財源、手法に基づく分権的な取り組みにより、若い世代をつなぎとめるための、官民による積極的な投資が行えるかどうかが、地方からの人材流出抑制の鍵となる。
   
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