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リサーチ・フォーカス No.2020-031

コロナ禍で盛り上がるオンライン投資の定着に向けて ~若年層を「投資から資産形成へ」導く施策を考える~

2020年12月08日 大嶋秀雄


コロナ禍を受けて世界各国でオンライン投資を始める個人が増えている。わが国でも、オンライン証券口座の開設が大幅に増加し、30 代以下の株主数の増勢が加速するなど、若年層を中心としたオンライン投資の拡大がみられる。

この背景には、①外出自粛等による消費減少と特別定額給付金等による可処分所得増加を背景とした資金余剰、②春先の大幅株安による割安感とその後の株価上昇期待、③オンライン投資による手続き簡素化と手数料引き下げによる投資へのハードル低下、④老後の生活不安の強まり、等があると考えられる。

消費減少を伴う今回の投資拡大は、いわば「消費から投資」の動きであり、経済活動が正常化するにつれて「投資から消費」への揺り戻しが生じる可能性が大きい。しかしながら、投資を始める若年層が増えたことは、近年にない投資行動の大きな変化と言える。これを短期的な動きに終わらせずに、中長期的な資産形成につなげることが重要である。

若年層を「投資から資産形成へ」導くために、金融機関が取り組むべき施策は、第1に、「中長期的観点の金融商品の強化」である。この点で注目されるのは、近年認知度が上がっているESG投資である。菅政権の2050 年カーボンニュートラル宣言を受けてさらに注目度が増しており、2050 年という時間軸も中長期投資と親和性が高い。第2に、「資産形成支援の強化」がある。若年層における老後の不安は強く、生活設計を含めた資産形成支援サービスの需要は大きい。

一方、政府に求められる施策は、第1に、「社会保障等の情報一元化」である。具体的には、菅政権が進めるデジタル化で活用が期待されるマイナポータルを通じて、個々人の公的年金、私的年金、資産形成制度などの情報を一元化し、長期の生活設計に活用できる仕組みを構築することが考えられる。第2に、「資産形成へのインセンティブ強化」がある。若年層の認知度が高いNISA等税優遇制度に、政府の注力政策である気候変動対策等に関連する投資の特別枠を設定する等により、中長期的な資産形成につなげることも考えられよう。

コロナ禍で盛り上がるオンライン投資の定着に向けて ~若年層を「投資から資産形成へ」導く施策を考える~(PDF:885KB)
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