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リサーチ・レポート No.2020-030

【世界経済見通し】戦後最悪・二極化不況からの脱却に苦闘する世界経済~その後に控える政府・非金融企業の過剰債務問題~

2020年11月30日 石川智久


世界経済は新型コロナの感染拡大により、2020年前半に大幅な落ち込みの後、年央以降は持ち直しへ。IMFは6月時点の見通しでは2020年の成長を▲5.2%としていたものの、10月見通しでは▲4.4%と上方修正しており、過度な悲観論は後退しているところ。回復ペースは、他国に先駆けて感染拡大を封じ込めた中国が早い一方、感染が再拡大している欧米は足元で鈍化。

今回の景気後退の特徴として、①雇用への甚大な悪影響、②所得格差の拡大、③不況下の株高、④過去最大レベルの財政・金融の拡張などが指摘可能。大恐慌以来の不況は、各国の政策総動員によって下げ止まっているものの、様々な分野で二極化も進展。

当面の世界経済を展望すると、新型コロナは2021年前半に収束し、ワクチンも徐々に実用化されるとの想定のもと、世界経済の回復傾向は続く見込み。もっとも、当面は欧米を中心に感染再拡大への警戒感が続くほか、ワクチンが開発されても世界中に浸透するには時間を要すると見込まれるなか、景気回復ペースは緩慢に。2021年は前年の反動から+5.2%、22年は3.3%を見込むものの、2020~22年の平均成長率は2%台に過ぎず、従来基準で言えば景気後退に相当するものに。

当面の世界経済を展望するうえで留意する点としては、①モノの貿易は比較的早期に回復するものの、ヒトの交流は回復が緩慢、②5G投資拡大などを背景にハイテク部門は堅調、③グリーンリカバリー関連産業の投資拡大が世界経済の成長にプラスに寄与、などが考えられる。

世界経済の中期的なリスクとしては、新型コロナ対応によって債務を急増させている政府部門と非金融部門における債務バブル崩壊の恐れ。新型コロナ収束後に、景気に悪影響を与えずに両部門の債務を削減できるよう、①債務処理を進めるための特別会計の導入、②債務削減の工程表の作成、③債務を急増させた非金融企業部門に対する的を絞った支援、などの対応などが重要。また、リーマンショック後のようにG20で協調して対策を進めることも必要。


【世界経済見通し】戦後最悪・二極化不況からの脱却に苦闘する世界経済~その後に控える政府・非金融企業の過剰債務問題~(PDF:1,163KB)
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