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リサーチ・レポート No.2020-026

【日本経済見通し】回復格差が広がる日本経済 ~労働移動の円滑化と事業の再構築が急務~

2020年11月30日 村瀬拓人


日本経済は、新型コロナ流行直後の歴史的な落ち込みから持ち直しつつあるものの、経済活動の水準は、依然として年初を大きく下回る状況が持続。

輸出面では、リーマンショック後の中国のような世界経済の力強いけん引役が見当たらない状況。先進国を中心とした新型コロナの感染再拡大も重石となるため、輸出の回復ペースは次第に鈍化する見通し。

一方、内需についてみると、企業の設備投資は、慎重な姿勢が一部でみられるものの、デジタル化関連の投資需要や経営体質の改善が支えとなり、リーマンショック時ほどの落ち込みはみられず。足許の収益環境は改善傾向にあり、設備投資も、先行き持ち直しに転じる見込み。

個人消費は、新型コロナが収束しないなか、当面は自粛ムードが残るほか、失業率の上昇や賞与の下振れなど雇用・所得環境の悪化も重石に。Go To キャンペーンなどの消費刺激策も、マクロの消費を大きく押し上げるには至らないため、個人消費は、新型コロナ流行前の水準を下回る状況が長期化する見通し。

以上を踏まえると、2020年度は第一四半期の落ち込みの影響で、▲5.2%と過去最大のマイナス成長に。2021年度は+3.4%、2022年度は+1.7%とプラス成長に転じるものの、景気回復ペースが緩やかなため、GDPが新型コロナ流行前のピーク水準を回復するのは、2023年度にずれ込む見通し。

こうした経済見通しの下、新型コロナによる景気の落ち込みからの回復は一様とはならず、業種・企業規模・販売戦略などの違いにより“回復格差” が残る見通し。今後は、成長力の強化だけでなく、“回復格差” にも配慮した取り組みが不可欠。2020年度の第3次補正予算の策定にあたっては、新型コロナの影響が大きい業種、分野に的を絞り、“労働移動の円滑化” と“事業の再構築” を支援する政策を検討する必要。

【日本経済見通し】回復格差が広がる日本経済 ~労働移動の円滑化と事業の再構築が急務~(PDF:1,167KB)
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