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リサーチ・アイ No.2020-048

政府・日銀の地銀再編支援策をどうみるか ―異例の政策対応による地銀再編圧力の強まり―

2020年11月18日 大嶋秀雄


本年11月10日、日銀は、経営統合等で経営基盤を強化した地方銀行・信用金庫に対して、日銀当座預金(以下、日銀当預)に+0.1%の特別付利を行う「地域金融強化のための特別当座預金制度」の導入を公表した。また、政府も、地方銀行に対して、経営統合の初期コストの約3分の1(20~30億円)を補助する制度を導入する方針と報じられている。

日銀は、新制度を「金融システムの安定確保のための政策」と位置付けているが、金融機関の経営戦略に直接影響を与える金融政策は、世界的にみても極めて異例、かつ、新しい取り組みであり、マイナス金利政策との平仄を含めて、今後その実効性を検証する必要があろう。

現段階の試算では、日銀の新制度は、全ての地方銀行が対象となった場合でも付利金額が年間400億円であり、地方銀行全体の資金運用利益の1.2%、経常利益の4.5%程度である。個別行の収益影響をみても、ほとんどの地方銀行において、付利金額は資金運用利益の2%未満となる。一方、政府の統合初期コスト支援策については、今後検討される予定ながら、預金保険機構の利益剰余金を財源に最大300億円程度(10行程度)になるとみられる。

いずれの支援策も、金融緩和を受けた利鞘縮小を主因とする地方銀行の資金運用利益の減少幅(直近5年で▲3,700億円超)と比較すれば、収益へのプラス影響は限定的なため、地方銀行にとって再編の直接的なインセンティブとはなり難い。今後は、政府・日銀がこうした異例の支援制度を導入したことによる「アナウンスメント効果」によって、地方銀行の再編が促されるのか注目される。

政府・日銀の地銀再編支援策をどうみるか ―異例の政策対応による地銀再編圧力の強まり―(PDF:273KB)
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