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リサーチ・フォーカス No.2020-028

欧州コロナ第二波により懸念される金融セクターへの影響

2020年11月18日 谷口栄治


欧州では、8月中旬以降、新型コロナウイルスの感染者が再び増加するなど、コロナ第二波の様相。感染拡大に歯止めがかからないなか、欧州各国では、不要不急の外出等を制限するロックダウン(都市封鎖)措置を再開。

今回の措置では、企業活動が原則継続となるなど、経済に配慮しているが、飲食業や観光業といったサービス産業の落ち込みは避けられず。欧州委員会は、本年10~12 月期のユーロ圏の実質成長率が2四半期ぶりのマイナス成長となる見通しを示すなど、欧州経済の「二番底」が懸念されている状況。

こうした経済の落ち込みによって、欧州主要行では、信用コストを積み増し。もっとも、主要米銀対比でみると、信用コストの増加率、信用コスト率、引当率は低位にとどまり、経済低迷が長期化した場合、追加的な引当が必要になるリスクあり。また、欧州中央銀行(ECB)の脆弱性分析(Vulnerability Analysis)によれば、経済悪化が深刻となれば、一部の金融機関では最低所要自己資本比率を下回る恐れ。

ユーロ圏、英国ではインフレ率が政策目標を大きく下回るなかで、景気低迷の見通しが強まり、低金利環境の長期化は避けられず、金融機関にとっては厳しい経営環境が持続。

一方、国家財政をみると、欧州各国でコロナ危機を受けて財政赤字が拡大。ECBによる国債買い入れ等により、長期金利は低位にとどまっているが、財政の悪化は今後も続くとみられ、将来的な市場混乱リスクの観点からも財政動向には注意が必要。

以上の通り、欧州においてコロナ第二波が到来するなか、景気悪化による信用コストの増加、低金利環境の長期化による収益性の低迷、欧州債務危機の再来懸念など、金融面でのリスクを警戒し、万一に備えていく必要あり。

欧州コロナ第二波により懸念される金融セクターへの影響(PDF:956KB)
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